どうも。
自分の仕事で使っていた確認項目を、1枚のチェックシートにまとめたとします。使い方も書いて、あとは値段を決めて公開するだけです。
ところが、販売ページの価格欄で手が止まってしまいます。
「こんな量で、お金をもらっていいんだろうか」
「買った人に、これだけ?と思われたらどうしよう」
「詐欺だと言われたら、立ち直れないかもしれない」
無料で渡すときには平気だったのに、値段をつけた途端、急に申し訳なくなるんですよね。
そこで、説明を足します。関連する知識を入れて、専門用語も増やして、特典までつけてみます。これだけ入っていれば、さすがに文句は言われないだろう、と。
でも、そうやって増やした内容は、買った人にとって必要なんですかね。
ここを確かめないまま作り込むと、売る側は頑張ったのに、使う側は困ってしまう商品ができあがります。
① 内容を足しているのに、なぜ売るのが怖いままなんですかね?
「もう少し充実させれば、自信を持って売れるはず」

そう思って追加したのに、今度は「もっと詳しい人が見たらどう思うだろう」と気になってきます。説明を増やすほど、確認していないことまで書き始めて、かえって不安になることもあります。
このとき、何を増やそうとしているのかを、一度確かめてほしいんです。
買った人が使うために必要な説明でしょうか。それとも、「自分はちゃんと頑張りました」と示すための説明でしょうか。
後者が混ざってくると、商品を完成させる基準がなくなります。どこまで書いても、もっと頑張った人はいるからです。
しかも、怖いのは商品の評価だけではないんですよね。
「役に立たなかった」と言われることが、「自分は人からお金を取ってはいけない人間だ」と言われるように感じてしまう。だから、少しでも批判される余地を減らしたくなります。
その気持ちを、根性で消す必要はありません。
ただ、分量を増やす前に、買う側の場面を見てみましょう。その人は、あなたの頑張りを確認するために商品を買うんですかね。
② 買った人が1枚で用事を済ませたら、それは損なんですか?
ここからは、説明のための仮の例です。

個人でバナー制作を受け始めた人が、依頼をもらったとします。相手から届いたのは、「こんな感じで、いい感じにお願いします」というメッセージです。
何を聞けば見積もりを出せるのか、まだよく分かりません。
サイズを聞いて、次に枚数を聞いて、そのあと画像は誰が用意するのかを聞き直します。ようやく話がまとまったと思ったら、納期について確認していなかったことに気づきます。
この人にとって、次の項目がまとまった確認シートはどうでしょう。
- サイズと使用先
- 必要な枚数
- 画像と文章を用意する人
- 希望する納期
- 修正の回数と範囲
さらに、そのまま相手に送れる質問文と、回答の記入例がついています。
もし、このシートを使うことで、何を聞くか迷わず、見積もり前の確認を進められるなら、買った人には具体的な使い道があります。
受け取った紙は1枚でも、助かるのは紙の分量ではありません。検索して質問を探す手間や、確認漏れで何度も聞き直す負担のほうです。
もちろん、必要な項目が抜けていたり、説明が曖昧だったりすれば、1枚でも役に立ちません。
短い商品の価値は、「短くしたこと」だけでは決まりません。その短さで、相手が何を進められるかで考えます。
そう考えると、「これしか入っていない」という見方が、少し変わってきませんか。
では、親切のつもりで説明を増やすと、買った人の作業はどうなるでしょう。
③ 丁寧に足した説明が、相手の仕事を増やしていませんか?
先ほどの人が、今日中に依頼への返信をしたいとします。

そこで確認シートを開いたら、最初にデザインの基礎講座が始まって、色の理論や制作事業の考え方まで説明されていたら、どうでしょう。
知識として役立つ部分はあるでしょう。でも、今すぐ確認したかった項目は、探さなければ見つかりません。
売る側は「これも知っておいたほうがいい」と思っています。使う側には、「まずこれを読んで、必要なところを選んでください」という新しい作業が発生しています。
困っている人が、いつも勉強したいとは限らないんです。
体系的に学びたい人には、詳しい教材が必要です。一方で、今すぐ返信したい人には、質問文と記入例が先に必要です。同じ知識でも、使う場面によって適した渡し方が変わります。
だから、内容を増やすか減らすかで迷ったら、次のように分けてみてください。
作業に直接使う項目は、最初に見える場所へ置きます。間違えやすい点や重要な注意事項は、その項目の近くに書きます。背景を詳しく学ぶ説明は、必要な人が読める補足に分けます。
必要な注意まで削って、無理に1枚に収める必要はありません。数ページになっても、相手が迷わず使えるなら、その長さには理由があります。
変えたいのは、商品の完成条件です。
「これだけ頑張って書いた」ではなく、「買った人が使って、目的の作業を進められる」を基準にしていいんです。
あなたの仕事は、知っていることを全部教えることではありません。今回の商品で扱う作業に合わせて、必要なものを選んで渡すことです。
ただ、ここまで分かっても、「お金を受け取って、期待外れだと言われたら」という怖さは残りますよね。そこは、どこを確かめればいいのでしょう。
④ 「詐欺だと思われたら」が怖いとき、何を確かめればいいんですか?
僕も以前、売り方を見て、素晴らしい商品だと思って買ったことがあります。一生に一度しか出会えないような商品に感じたんですが、中身を開けたら、その期待に見合う内容ではありませんでした。

僕は、商品の中身より大きな期待を持たせる売り方が好きではありません。中身と売り方の熱量は、釣り合っていてほしいと思っています。
この話は、小さな商品を売るときにも関係します。
たとえば、確認シートを「これさえあれば、誰でも制作の仕事で失敗しなくなります」と紹介したら、約束が大きすぎます。確認項目を整理する道具だけで、制作技術や営業や顧客対応まで解決できるわけではないからです。
先ほどの仮の商品なら、販売文はこう書けます。
バナー制作を受け始めた方が、見積もり前の確認に使うシートです。
サイズ、枚数、素材の準備、納期、修正条件について、依頼者に聞く項目と質問文をまとめています。PDFの確認シート1枚と、記入例1枚をお渡しします。
デザインの作り方や、見積もり金額の算出方法は含みません。受注やトラブル防止を保証するものではありません。
誰が、どの場面で使うものなのか。何が入っていて、何は扱わないのか。買う前に、そこを判断できるようにします。
これは、自信のない売り方ではありません。商品の用途を正確に伝える説明です。
ただし、範囲を書いたら苦情がなくなるわけではありません。説明どおりに使えない、項目に誤りがある、受け取れるはずのものが届かない。そうした問題には、確認と対応が必要です。
不安を全部消してから売ろうとするより、何か言われたときに確認できる状態を作りましょう。
販売文に何を約束したか、実際に何を渡したか、どこに問題があったか。それを確かめられれば、指摘を受けたときにも、商品のどこを直すかを考えられます。
ここまで揃うと、次に決めたいのは値段です。では、その金額を何から考えればいいんですかね。
⑤ 値段は、「申し訳なくない金額」で決めるんですか?
不安だから安くする。安い分だけ文句を言われないように、内容を増やす。

この決め方を続けると、少ない代金で、たくさん説明し、たくさん対応する商品になってしまいます。売る側の負担ばかり増えて、続けられなくなります。
価格を考えるときは、まず商品の範囲を固定してください。
先ほどの例なら、「見積もり前に聞く項目と質問文を整理するシート」です。個別の見積もり相談まで受けるなら、それは別の提供内容として考えます。
そのうえで、次の順番で検討します。
- 同じ作業を助ける選択肢を調べます。
類似の有料商品と、無料で使える資料を確認します。ページ数より、対象者、質問文や記入例の有無、個別対応の範囲を比べます。
- 自分の商品を選ぶ理由を一文にします。
「情報がまとまっています」だけでなく、「依頼者に送る質問文があり、何を聞くか考えるところから始めなくて済みます」まで具体的にします。同じ用途を無料の資料で十分に満たせるなら、有料にする理由をもう一度確かめます。
- 仮の価格と見本を、対象に近い人に見てもらいます。
「何に使う商品だと分かりましたか」「使うときに迷う箇所はありますか」「この価格なら、ほかの方法とどう比べますか」と聞きます。「良さそうですね」という感想だけで、売れると判断しないことです。
たとえば税込1,000円を候補にするなら、それは検討するための仮の価格です。「1枚の商品は1,000円が正解」という意味ではありません。
その金額で、何を受け取れるのか。自分の作業に使えるのか。ほかの方法を選ぶほうがよいのか。買う人が判断できる情報を揃えてください。
価格は総額で示し、受け取り方、問い合わせ先、返品・返金の条件も、実際に対応できる内容で案内します。
堂々と代金を受け取るために必要なのは、誰からも批判されない価格を探し続けることではありません。説明した内容を、その条件で渡せるようにしておくことです。
では、自分の経験から作ろうとしている商品は、そこまで具体的になっているでしょうか。
⑥ その経験を、買った人の「迷いを消す道具」にできますか?
あなたが何度も聞き直したこと、毎回確認していること、失敗してから必ず確かめるようになったこと。そこには、商品に使える材料があります。

ただ、「自分はこんな経験をしました」と書くだけでは、買う人の使い道はまだ決まりません。
「その経験を使って、どの場面の、何の迷いを減らせるか」まで具体的にしてみてください。
そのために、以下の「商品設計チェックリスト」を使ってほしいんです。今作っている商品の名前を上に書いて、一項目ずつ確認してみましょう。
商品設計チェックリスト
- [ ] 使う人と場面が決まっていますか?
「初心者向け」から一歩進めて、「初めて制作依頼を受け、見積もり前の返信で困っている人」まで書きます。
- [ ] 使ったあとに進められる作業を言えますか?
「理解が深まる」だけでなく、「確認する質問を選び、依頼者への返信を書ける」など、完成状態を決めます。
- [ ] 減らす迷いや手戻りが具体的ですか?
検索すること、聞き直すこと、やり直すことのうち、何を助ける商品なのかを確かめます。
- [ ] 初めて使う人が、次の操作を分かりますか?
記入例や質問文をつけ、説明不足で手が止まる箇所を確認します。
- [ ] 内容を増やした理由を説明できますか?
作業や判断に必要な説明を残し、自分の不安を隠すためだけに足した章は見直します。
- [ ] できること・扱わないことが書いてありますか?
商品の用途と範囲を、販売文だけで判断できるようにします。
- [ ] 無料の資料や類似商品と比べる理由がありますか?
対象の違い、使いやすさ、記入例、対応範囲など、実際にある違いを書きます。
- [ ] 販売条件と実物が一致していますか?
価格、受け取るもの、受け取り方、問い合わせ、返品・返金の条件を確認します。
埋まらない項目があったら、そこを先に直してください。ページを増やすより、「誰が、何に使うのか」を確かめるほうが、商品を前へ進められることがあります。
まずは販売ページに、次の二文を書いてみましょう。
「この商品は、〇〇の場面で、△△を進めるために使えます」
「□□は、この商品では扱いません」
価格欄で手が止まったら、説明を足す前に、この二文と実物が合っているかを見てください。
相手の作業に必要な中身と、その中身に合った約束が揃っているなら、1枚であることを謝る必要はありません。
その1枚で済むように整理したことを、商品の特徴として伝えていいんです。




















