The Alchemist's Laboratory ― 君が隠してきた失敗が、一番高く売れる。
凡人再起動ログ 全10話・完結

K.藍沢が、二度ゼロから立ち上がるまでの全記録。転んで、また立った、不格好な足跡の話だ。

転落① 転落② 上昇① 上昇②
二度の転落二度の上昇 2度目は、もっと深く。そして、もっと高く。
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AIに8割渡して、残り2割で勝つ——今日から引ける分業の線

AIをこれから、どの仕事に使って、自分はどこに立てばいいのか。発信でも本業でも、そろそろ本気で迷っている人が多いと思う。たいていは「全部AIに任せるか」「意地でも自分で書くか」の二択で止まる。でも実務は、その二択で悩む前から答えが出ている。AIと自分の仕事は、最初から8対2くらいで分かれているんだ。

「敵か味方か」で悩むのは、時間の無駄

AIは仕事を奪う敵なのか、頼れる味方なのか。この手の議論を、僕はあまり追いかけない。敵か味方かを決めても、明日の作業は1ミリも進まないからだ。

見るべきは1つだけ。どの工程をAIに置いて、どの工程に自分が立つか。線を1本引くだけの話だ。

実際、うまく使っている人の現場では、とっくに比率が決まっている。基本構成の7〜8割はAIが作り、人間がやるのは価値を注ぎ込む1〜2割。成果を分ける決定的な差は、この人間の1〜2割にある。AIの出力をそのままコピペしても、価値は生まれない。

どの工程をAIに置き、どこに自分が立つか

じゃあ、その線をどこに引くか。答えはシンプルで、AIには「調べる・下書き・量産」を丸ごと渡す。自分が立つのは、入口と出口の2つだけでいい。

入口は「誰に何を」の設計だ。AIに投げる前に、5W1H——だれに/なにを/なぜ/いつまでに/どこで使う/どうやって——を1行で書いて渡す。ここがぼやけると、AIは平均的な優等生の答えしか返してこない。

AIが勝手に「じゃあ作りますね」と走り出したら、一度止めていい。目的→戦略→手順の順で、主導権はこっちが握る。

AI 8割自分 1〜2割

成果を分けるのは、この1〜2割

基本構成の8割はAIに任せていい。勝負は、残りの1〜2割に、自分の失敗と数字を上書きできるかだ。

出口は、AIが出したものに自分を上書きする添削。ここは次で詳しく分ける。まずは入口と出口、この2工程が自分の持ち場だと決めてしまおう。

AIに書かせる順番——一気に頼まない

AIをうまく使えない人の共通点は、1回のお願いで完成品を出させようとすることだ。あれもこれもと指示を並列で積むと、AIはたいてい迷子になる。

だから、段階に割る。例えば記事なら、こういう順番で刻んでいく。

  1. 1

    タイトルを10案出させる

  2. 2

    そこから選んで、目次(4〜5章)を作らせる

  3. 3

    各章の小見出しを出させる

  4. 4

    小見出しごとに本文を書かせる(「この部分を1000文字で」と分量も指定する)

  5. 5

    最後にまとめを作らせる

レター全体を一度に生成させないで、「ボディのストーリー部分を1000文字で」のように、要素と文字数を指定して複数回に分ける。この方が、長くて質の高い文章が出てくる。

作る流れ自体も、一発完成は狙わない。①壁打ち→②叩き台→③執筆→④推敲→⑤学習、と小さく回す。特に⑤が大事で、自分が直した差分をAIに覚えさせるほど、出力は自分好みに近づいていく。

時間がない日は、工程を半分に削っていい。ただし「設計(誰に・何を・どんな感情の流れで)」と「検品(品質チェック)」の2つだけは削らない。ここを飛ばすと、質が一気に不安定になる。

出口の「上書き添削」——ここが1〜2割の勝負

AIが出した下書きを、そのまま流すか。ひと手間かけて上書きするか。差がつくのは、ここだ。

上書きというのは、AIが出した平均の文章に、自分だけの失敗・数字・具体例を1つ差し込む工程のこと。感覚で「いい感じに直す」んじゃなくて、順番で処理する。

  1. 1

    論理と表現の精査(構成の矛盾、不自然な言い回しを直す)

  2. 2

    一番弱い訴求ポイントを見つけて、強い表現に書き換える

  3. 3

    個性と人間味を足す(語尾を「〜です」から「〜だと思いませんか?」に変えて、自分の声を出す)

なんで、この1工程がそこまで効くのか。理由は、いまの検索とAIの仕組みにある。

Googleは、誰も公開していない一次体験・オリジナルの情報——自分の数字や具体例——を評価する方向に、更新を重ねてきている。E-E-A-Tと呼ばれる考え方だ。

逆に言えば、AIは世に公開ずみの「平均的な」文章で学習しているから、素のAI出力は構造的に「平均の再生産」になる。だから今の実務の正解は、AIが下書き→人間が編集して本物を担保する、という組み合わせなんだ。

夜明けの街を前へ歩いていく人物の後ろ姿
調べ物も下書きもAIに渡して、空いた力を最後の一滴に回す。

このブログを書いている僕自身、たぶん誰よりもAIに頼ってこれを書いている。調べ物も、構成の叩き台も、ほとんどAIだ。でも最後の一滴だけは、AIには書けない。2017年、Googleのアップデートで、僕のアフィリエイト収入は一晩でゼロになった。取り返そうと残った金を投資に突っ込んで、全損。資産ゼロ、借金600万。

画面の残高を見た時、血の気が引いたのを、今でも覚えている。この一次体験だけは、世界中どこを探しても公開されていない。だからAIが吐く平均に、この失敗を上書きするのが、僕の仕事なんだ。

AI時代の、工程の分け方
🤖
AIに置く工程(8割)
調べる・下書き・量産。誰でも使える基本構成。
✍️
自分が立つ工程(1〜2割)
入口の5W1H設計と、出口の上書き添削。
AIが出した平均に、自分だけの失敗・数字・具体を1つ上書きする
ここだけは手放さない

AIは道具として、思いきり使い倒していい。基本構成の8割はAIでいい。勝負は残りの1〜2割——AIが出した平均に、自分の失敗と数字と具体例を上書きできるかだ。ここを飛ばして平均をそのまま流すと、いちばん埋もれる。道具は使い倒す。載せるものだけは、自分で用意する。

今日30分でできる、最初の一手

理屈は分かった。あとは1回やってみるのが早い。題材は、Xのポスト1本がいい。短いから、練習にちょうどいいんだ。

  1. 1

    5W1Hを1行で書く(誰に・何を・なぜ・どこで・どんな口調で)

  2. 2

    型を決める(140字におさめる/箇条書きにする、など)

  3. 3

    自分の過去の失敗を1つ思い出して、メモする

  4. 4

    AIに叩き台を3案出させる

  5. 5

    その「平均の3案」に、3でメモした失敗や具体を1つ差し込んで書き換える

これだけで、「AIに8割・自分が1〜2割」の分業を、手で体感できる。頭で分かるより、1本作ったほうが早い。

よくある不安

Q. AIに頼ったら、自分の力がつかないんじゃないか?

手を動かしながら覚えればいい。むしろ設計(誰に・何を)と検品(上書き添削)を自分でやり続ける限り、力はちゃんとつく。危ないのは、丸投げして工程ごと手放すことだけだ。

Q. 全部AIっぽくなって、埋もれないか?

埋もれるのは、AIが出した平均をそのまま流した時だけだ。最後に自分の失敗や数字を1つ上書きする。この一工程さえ残せば、同じAI下書きからでも、まったくの別物になる。

AIは怖がる相手じゃない。うまく使えば、君の時間をごっそり空けてくれる道具だ。線を1本引くだけでいい。調べる・下書き・量産はAIに渡して、空いた力を、入口の設計と出口の上書きに回す。まずは今日、Xのポストを1本、この手順で作ってみよう。それが、これからのAIとの付き合い方の、いちばん小さな第一歩になる。

誰にも気づかれない夜の、君へ

AIに書けるものは、これから一番安くなる。
君の生き様は、これから一番、値がつく。

機能で消耗する時代は、静かに終わっていく。武器になるのは、何度もコケて、それでも続けてきた、君の生き方の方だ。それは作るものじゃない。もう、君の中に埋まっている。

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