The Alchemist's Laboratory ― 君が隠してきた失敗が、一番高く売れる。
凡人再起動ログ 全10話・完結

K.藍沢が、二度ゼロから立ち上がるまでの全記録。転んで、また立った、不格好な足跡の話だ。

転落① 転落② 上昇① 上昇②
二度の転落二度の上昇 2度目は、もっと深く。そして、もっと高く。
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順番は自由。気になった扉から、どうぞ。
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自分のコンテンツがしょぼく見えて、出せない。原因は”質”じゃなかった

自分のコンテンツが、しょぼく見える。人の教材や特典と並べると、自分のはずいぶん見劣りする気がして、公開ボタンの前で手が止まる。

自信が出てから出そう、もう少し質を上げてから。そう先延ばししているうちに、下書きフォルダだけが静かに増えていく。

世間は「もっと質を上げれば、自信は後からついてくる」と言う。でも、その順番のままだと、たぶん君はずっと動けない。しょぼく見える本当の原因は、コンテンツの出来じゃないからだ。

その「しょぼい」は、出来じゃなく比較が作っている

質が低いと感じると、何が起きるか。まず「自分のは他より劣っている」という認識が生まれる。すると売る言葉が弱腰になって、集客の手も鈍る。当然、反応は返ってこない。

こわいのは、ここからだ。反応がないと「ほら、やっぱり価値がない」と、最初のしょぼいがさらに強くなる。そしてまた止まる。同じ場所をぐるぐる回るんだ。

このループの入口は、いつも「誰かと比べて」のところにある。他人の特典、他人の文章、他人の実績。比べて測るかぎり、上には必ず誰かがいる。

だから、どれだけ質を上げても、もっとすごい人が目に入って、またしょぼいに戻る。ゴールが自分の外にあって、追いかけるたびに逃げていくからだ。

つまり、しょぼいは出来の評価じゃない。比較が作る錯覚だ。ここを取り違えているかぎり、質をどれだけ磨いても抜けられない。

図1
しょぼい、の正体は出来じゃない。比べているだけだ。
出来を上げにいく前に、何で測っているかを疑う。抜け方は、いつもここから始まる。

出す基準を、他人から「目の前の一人」に付け替える

じゃあ、何を基準に出すか。「他人より上か」をやめて、目の前の一人が、これでちゃんと前に進めるかに付け替える。良いコンテンツの条件は、たった三つでいい。

  • 役に立つ
  • また欲しくなる
  • 人に勧めたくなる

この三つを満たしていれば十分で、誰かより上である必要はどこにもない。基準を自分の外から手の届く一人に戻すだけで、測る対象がまるごと変わる。

ここで覚えておくといい事実がある。特典や企画は、見せ方のわりに中身が伴っていないと、むしろ逆に働く。「すごそう」と期待させて中身が薄いと、人は「騙された」と感じて、次はもう手に取らない。測るのは見栄えじゃなく、受け取った人の満足度だ。

だから、豪華に見せたくなっても、数を足すのはやめておく。特典を十個に増やすより、一本の深さで作る。形式がPDFか動画かも、正直どっちでもいい。いちばん効くのは中身、つまりネタそのものなんだ。

AIが書ける部分と、君が転んだ部分を、色で分ける

AIで、それらしい文章は誰でも一瞬で出せるようになった。情報そのものの価値は、どんどん薄まっている。

じゃあ、これから何で差がつくか。答えははっきりしていて、一次情報だ。君が実際に体験して、転んで、そこで気づいた一点。「何を知っているか」より「何を体験したか」のほうに、価値が移ったんだ。

やること自体は、地味な作業だ。次に出す一本の本文を、頭の中で二色に塗り分ける。

一つは、調べれば出てくる一般的な手順や、正解のまとめ。ここはAIが書ける部分だから、そのまま任せていい。もう一つは、君が実際に転んだ失敗、遠回り、その時に気づいた一点。ここだけは、最低一つ、自分の手で書き足す。

なぜ、そこにこだわるのか。僕自身、会社員のころ、自分がいちばん詳しいはずの専門ジャンルでプレゼンをして、大失敗したことがある。周りのほうがよっぽど知識があって、顔が熱くなるほど悔しかった。それ以来、自分の名前で何かを出すのが、長いこと怖かった。

だから分かるんだ。借りてきた正解を並べているだけだと、いくら整っていても「自分の中身は空っぽだ」という感覚が消えない。逆に、自分が転んだ一点が入ると、その一文だけは誰も持っていない。

他人の情報を参考にするのは、もちろん構わない。調べた内容を自分の言葉で組み立て直せば、それは丸写しじゃなく、自分で消化したものになる。コピーと消化を分けるのは、そこに君の一点が乗っているかどうかだ。

比べる相手を、半年前の自分に変える

比較を完全にやめろ、とは言わない。人間だから、つい誰かと比べてしまう。無理に消そうとすると、余計に気になるものだ。

だからやめるんじゃなく、比べる相手をすり替える。半年前の自分に、だ。半年前より一つでも前に進んでいれば、その日はもう合格でいい。

見る画面も絞っていい。他人のフォロワー数やいいねの数は、開かない。見るのは、半年前の自分が書けなかったことを、今日の自分が書けているか。それだけだ。

そもそも、反応が出ない一番の原因は、コンテンツの質じゃないことが多い。読んだ人が次にどこへ進めばいいか、その導線がないだけ、というのがいちばん多いんだ。しょぼいと落ち込む前に、悩んでいる土俵そのものがズレていることは、けっこうある。

昔、ネットでそれなりに稼げた時期があった。でも、あれは他人の商品を紹介していただけで、自分の物差しを他人の売上に預けっぱなしだった。それを自分の側に戻すまで、数字がいくら伸びても、ちっとも満たされなかった。

完璧を待たず、まず小さく出す

完璧に磨いてから出す——これも、やめる。コンテンツも記事も、出したあとからいくらでも直せる。「自信が出てから」を待っていると、その日は永遠に来ない。

順番はこうだ。自分の一点を一つ入れたら、荒削りでも、まず小さく出す。反応を見る。そして直す。それでいい。

完璧な完成品より、「自分はこう考えて、こう変えてみた」という途中経過のほうが、今はむしろ刺さる。少ない人数に、深く届くんだ。だから、出す前に磨きすぎなくていい。

ここまでの話を、今日、三十分だけ時間をとって、一つの作業に落とし込んでみてほしい。

  1. 1

    次に出す予定の一本を開く

    下書きでいい。まだ何もなければ、書こうとしているテーマのメモでいい。

  2. 2

    本文を二色に塗り分ける

    誰でも書けるAと、自分が転んだ失敗・遠回り・気づいた一点B。頭の中でも、実際に色をつけてもいい。

  3. 3

    Bがゼロなら、一つ書き足す

    半年前の自分がつまずいたことを思い出して、一〜二文で書く。今日はまだ出さなくていい。Bを一つ持てたら、それで十分だ。

Bが一つでも見つかれば、そのコンテンツはもう、比較の土俵から半歩外れている。しょぼいかどうかで固まっていた手が、少しだけ動くはずだ。

僕も、ここに気づくまで、ずいぶん遠回りした。だから、焦らなくていい。まずは半年前の自分に、一つだけ勝つ。その小さな一本の手応えが、比較ではどうやっても手に入らなかったものを、少しずつ君の中に積んでくれるはずだ。

あわせて読むなら、その「自分が転んだ一点」の掘り方は自分の強みの掘り方で詳しく書いた。出した一本に人が来なくて悩んだら、アクセスが集まらない時の話も読んでみてほしい。

よくある質問

Q. ある程度の質は、やっぱり必要では?

要る。役に立つ・また欲しい・勧めたくなる、この三つは外せない。ただ、他人より上である必要はない。基準は、目の前の一人がちゃんと前に進めるか。それだけだ。

Q. 語れる失敗も実績も、ない気がします

大きな失敗じゃなくていい。昨日つまずいたこと、半年前に悩んでいたこと、当時の自分が知りたかったこと。少し前の自分に向けて書けば、それがそのまま、AIには書けない一点になる。

Q. 下書きをAIに書かせるのは、ずるい?

ずるくない。情報整理や下書きはAIに任せていい。僕も使っている。ただ、AIが書ける部分は、裏を返せば誰でも書ける部分だ。だから最後に、君が転んだ一点だけを、自分の手で足す。そこを足すか足さないかで、しょぼく見えるかどうかが決まる。

誰にも気づかれない夜の、君へ

AIに書けるものは、これから一番安くなる。
君の生き様は、これから一番、値がつく。

機能で消耗する時代は、静かに終わっていく。武器になるのは、何度もコケて、それでも続けてきた、君の生き方の方だ。それは作るものじゃない。もう、君の中に埋まっている。

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