The Alchemist's Laboratory ― 君が隠してきた失敗が、一番高く売れる。
凡人再起動ログ 全10話・完結

K.藍沢が、二度ゼロから立ち上がるまでの全記録。転んで、また立った、不格好な足跡の話だ。

転落① 転落② 上昇① 上昇②
二度の転落二度の上昇 2度目は、もっと深く。そして、もっと高く。
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完璧主義でコンテンツが公開できない──「完璧に仕上げてから」が、君の手を止めている

2012年。会社を辞めて、後がなかった頃の話だ。カーテンを閉めた部屋で、僕は毎日キーボードを叩いていた。打っては消し、また打つ。出来上がるものは、完璧とは程遠い。それでも、手は止めなかった。

あの部屋で僕が掴んだのは、たった一つだった

あの頃の僕は、完璧なんて目指していなかった。目指す余裕がなかった、と言うほうが正しい。

会社に戻りたくない。その一心だけで、不完全なまま打ち続けた。朝起きて、また机に向かう。ペンのインクが減っていくのだけが、進んでいる証拠だった。

そうやって量をこなすうちに、おかしなことが起きた。最初はひどかった文章が、少しずつ形になっていく。質は、後からついてきたんだ。

先に完璧を用意したわけじゃない。動いた量が、勝手に質を連れてきた。あの時期に掴んだのは、結局それだけだった。

あの部屋で起きたこと|量と、出来の関係
ここから出来量→

最初はずっと低空飛行だ。ある量を超えたところから、出来が急に立ち上がる。

完璧じゃない。でも、進んでる。

— あの部屋で、自分に言い聞かせていた言葉

君は今、あの頃の僕と逆をやっていないか

ここで、君の話をさせてくれ。

君の下書きフォルダに、書きかけのまま眠っている記事はないだろうか。あと少し整えてから。もっと調べてから。完璧にしてから出そう——そう思っているうちに、何週間も経っている。

気持ちはわかる。中途半端なものを出して、がっかりされるのが怖い。だから手元で磨き続ける。

でも、その「完璧に仕上げてから」こそが、君の手を止めている張本人だ。

未明、机に向かう人の後ろ姿
止まって完璧を夢見るより、不完全に一歩進むほうが、遠くへ行ける。

君の「あと少し」は、たいていこの4つの形をしている

「完璧に仕上げてから」と言うとき、君は具体的に何をしているのか。たぶん、自分でもよく分かっていない。

完璧主義は、いつも「もっと良くしている」という正しい作業の顔をしてやってくる。だから止まっている自覚がない。手は動いているのに、なぜか公開ボタンにだけ届かない。

僕が見てきた限り、その「あと少し」は、だいたい次の4つのどれかに化けている。

調べ続ける書く前に「もっと正確に」と資料を読み漁る。インプットしている間は、出さずに済む。
手直しが終わらない書き上げたのに、てにをはを延々といじる。直すたび、別の粗が見えてくる。
公開直前で消す指がボタンに乗った瞬間「やっぱり弱い」と全消し。怖さを、完成度のせいにする。
始める前に固まる頭の中の完成形が高すぎて、一文字目が書けない。準備だけで日が暮れていないか。

どれかに、心当たりがあるだろう。僕は全部やった。なかでも一番長く居座ったのが、右上の「手直しが終わらない」だ。

でも、出した後にやっと分かった。あの手直しは、粗を消す作業じゃない。出さない理由を増やす作業だったんだ。

4つに共通するのは一つ。どれも「まだ世に出していない」状態を、自分の手で守っている。手は動いてるのに、一歩も外に出ていない。

「完璧に仕上げてから」だと、なぜ一生出せないのか

完璧主義は、丁寧さの顔をしている。でも中身は、たいてい出さないための言い訳だ。

理由は単純で、「完璧」の基準が自分の頭の中にしかないからだ。自分で決めた完成ラインは、近づくほど遠ざかる。ここまでやったら、また粗が見える。直したら、別の粗が見える。終わりが来ない。

あの部屋の僕には、その基準すらなかった。粗が見えても、止まる余裕がなかっただけだ。皮肉なことに、それがよかった。

そもそも、その「完璧」は本当に君の基準だろうか。どこかで見た誰かの完成形を、無意識になぞっているだけかもしれない。

しかも、出さなければ誰の反応も返ってこない。反応がないから、何を直せばいいかも分からない。分からないまま、頭の中だけで完璧を磨こうとする。これが、抜け出せないループの正体だ。

完璧
まだ粗がある。出すのは早い。
進む
その粗、出してみるまで本当に粗かも分からないよ。
完璧
中途半端を出したら、がっかりされる。
進む
誰にも届かない完璧と、届く八割。残るのはどっちだ。

ほどき方は、完成の線を相手に渡すこと

じゃあ、どうやってほどくか。今日からできることを、一つだけ渡す。

「完成」の定義を、自分の中から相手の側に移すんだ。

「自分が納得するまで」をやめる。代わりに、「相手にとって役に立つ最低ラインを越えたら出す」に変える。基準が自分の頭の中にある限り終わらないが、相手の役に立つかどうかなら、出して反応を見れば分かる。

今日の一手

1本を完璧にする時間で、不完全な3本を出して、反応を見て直す。完璧な1本より、直された3本のほうが速く良くなる。

公開したものは、後からいくらでも直せる。発信は彫像じゃない。出してから何度でも彫り直せる。だから、最初の一発に完璧を背負わせなくていい。

よくある不安

Q. 雑なものを出して、評価が下がらない?

下がるとしたら、それは「完璧じゃないから」じゃない。相手の役に立っていないからだ。役に立つものなら、多少粗くても人は受け取る。むしろ、出し続ける人のほうが少しずつ信頼されていく。

Q. 完璧主義って、本当は強みじゃないの?

出した後に発揮されるなら、強みだ。出す前に発揮されると、ただのブレーキになる。完璧に仕上げる力は、世に出して反応を受けてから、磨く段階で使えばいい。順番の問題なんだ。

不完全なまま出す怖さは、たぶん消えない。僕も、いまだに公開ボタンの前で一瞬ためらう。

でも、止まったまま完璧を夢見ているより、不完全に一歩進んだ君のほうが、半年後はずっと遠くにいる。今日、下書きで眠っているやつを、完璧じゃないまま一つ出してみてくれ。それが、ほどける最初の感触になる。

まだ「機能」として消耗し続けるつもりか?

真面目に働くほど報われない。
そんな「構造の罠」に気づいている君へ。

       

多くの地獄から生還した私が、
その他大勢(モブ)を脱出し、人生の主人公へ覚醒するための「生存戦略地図(MSP構築論)」を極秘レポートにまとめた。

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