売るために、自分を売り込まなくていい。|無言起業
凡人再起動ログ 全10話・完結

K.藍沢が、二度ゼロから立ち上がるまでの全記録。転んで、また立った、不格好な足跡の話だ。

転落① 転落② 上昇① 上昇②
二度の転落二度の上昇 2度目は、もっと深く。そして、もっと高く。
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「ギブが大事」を真に受けた人ほど、なぜ都合よく使われて終わるのか?

どうも。

ビジネスや人間関係について学んでいると、よく出てくる言葉があります。

「まずはギブしましょう」

「先に価値を提供しましょう」

「見返りを求めてはいけません」

「与える人が、最後には成功します」

どれも間違いではありません。

実際、何も渡さず、自分の利益だけを求める人が上手くいかないのは当然です。

でも。

この言葉を真面目に受け取って、

頼まれたことを全部やる。

無料で働く。

自分のお金まで使う。

嫌なことも我慢する。

それでも見返りを求めない。

と続けた結果、感謝されるどころか、都合よく使われて終わる人がいます。

なぜでしょうか?

ギブが足りなかったのでしょうか?

もっと長く、もっと大きく、もっと無償で与えれば、いつか相手が認めてくれるのでしょうか?

違います。

むしろ、この考え方のままギブを増やすほど、撃沈します。

今日は少し生々しい話も含めて、この問題を掘ってみたいと思います。

明るい空を背景に、左右から伸びた二本の腕の手が、触れる手前で向かい合っている。

①「見返りを求めなかった」のに、なぜ感謝されなかったのか?

僕が独立して少し経った頃、尊敬していた人がいました。

スピーチが上手い。

自信がある。

外見もかっこいい。

僕は人見知りで、リアルタイムに話すのも得意ではありません。

だから、自分にないものを全部持っているように見えたんです。

一方で、僕にはWebができました。

そこで、

「手伝いますよ」

と申し出ました。

さらに、

「貢献という形で頑張りますので、弟子にしてください」

と言って動きました。

自分のお金を使ってまで手伝いました。

こちらが先に価値を出せば、きっと相手も何かを教えてくれる。

役に立てば、いつか認めてもらえる。

そう考えていたんです。

ところが、返ってくるのは、

「まあ、とりあえずこれやっといてください」

という言葉ばかりでした。

いつまで経っても、何も教えてもらえない。

最後に、僕のほうから聞きました。

「あなたは何を教えてくれるんですか」

すると、こう言われました。

「あなたはただ、私の言うことを聞いてりゃいいんですよ」

ここで、ようやくわかりました。

僕が弟子だと思っていた関係を、相手は弟子と師匠の関係だと思っていなかった。

相手から見れば、

「頼めば、自分のお金まで使って動く人」

だったんです。

これを聞くと、

「その人が悪かっただけでは?」

と思うかもしれません。

もちろん、誠実な人ならそんな扱いはしないでしょう。

でも、それだけで終わらせると、同じことが別の相手との間で起きます。

問題は、相手の人間性だけではありません。

僕自身が、ギブを使って関係を作ろうとしていたことです。

では、何を間違えていたのでしょうか?

②あなたが渡しているのは価値ですか? それとも「断らない人」という情報ですか?

価値を提供すれば、相手からの評価が上がる。

普通はそう考えますよね?

でも、人は渡されたものだけを見ているわけではありません。

渡し方も見ています。

例えば、相手から頼まれるたびに無料で対応する。

期限を決めない。

範囲も決めない。

嫌でも断らない。

追加を頼まれても引き受ける。

このとき相手が受け取る情報は、

「この人は価値を提供してくれる」

だけではありません。

同時に、

「この人は断らない」

「もっと頼んでも大丈夫」

「対価を払わなくても動く」

「雑に扱っても離れない」

という情報まで渡しています。

同時に渡っている情報

この人は断らない

もっと頼んでも大丈夫

対価を払わなくても動く

雑に扱っても離れない

怖いのはここです。

本人は、能力を証明しているつもりです。

でも相手の中で証明されているのは、

「便利に使える人」

である場合がある。

つまり。

ギブをしたから軽く扱われたのではありません。

境界線のないギブによって、

「軽く扱っても問題ない人」

だと学習させてしまったんです。

これは仕事だけではありません。

長く付き合っていて、よく一緒に遊んでいた相手がいました。

その相手にお金がないときは、貸していました。

ある日、飲み屋で、その相手から僕は、

「金づる」

と言われました。

その場で自分の分のお金を払って帰りました。

あとから謝ってきましたが、それ以降は相手にしませんでした。

「金づる」という言葉によって、急に関係が壊れたわけではありません。

その言葉が、それまで見えなかった関係の正体を見せただけです。

では、なぜ人は、そこまでされる前に止まれないのでしょうか?

③相手を助けたいのか、その人に選ばれたいのか?

ギブで撃沈する人には、共通点があります。

優しいこと。

ではありません。

本当の共通点は、

「相手に選ばれたい気持ちを、価値提供という言葉で隠していること」

です。

役に立てば、仲間に入れてもらえる。

尽くせば、認めてもらえる。

我慢すれば、特別な存在になれる。

断らなければ、嫌われない。

口では、

「見返りは求めていません」

と言います。

でも心の奥では、かなり大きな見返りを求めています。

お金ではありません。

承認です。

ここを認めない限り、ギブは止まりません。

なぜなら、提供しているものへの反応が薄ければ、

「まだ足りないんだ」

と考えるからです。

もっと働く。

もっと我慢する。

もっと自分を後回しにする。

すると相手は、さらに受け取る。

本人は、

「これだけやったんだから、いつかわかってくれる」

と思う。

相手は、

「この条件でやってくれる人なんだ」

と思う。

同じ時間を過ごしながら、二人の認識だけがどんどん離れていくんです。

特に危ないのは、不器用な人です。

口がうまくない。

人あたりよく振る舞えない。

その場で気の利いたことも言えない。

だから、

「せめて行動で証明しよう」

と考える。

これは立派に見えます。

でも、証明する相手を間違えると、努力がそのまま服従になります。

口だけがうまく、人あたりのいい人間が世の中を渡っていく。

その姿を横で見ていると、不器用な側は焦ります。

「自分には、もっと何かを差し出さなければ価値がない」

と思ってしまう。

でも。

不器用だから価値がないのではありません。

相手に選ばれるために、自分の価値を安売りする必要もありません。

変えるべきなのは、自分の性格ではなく、ギブの設計です。

では、境界線を引けば解決するのでしょうか?

ここでも、多くの人が怖くなります。

④境界線を引いたら壊れる関係は、本当に守るべき関係だったのでしょうか?

「ここから先は有料です」

「今回はここまでです」

「それはできません」

「先に条件を決めましょう」

こう言うと、相手が離れるかもしれない。

冷たい人だと思われるかもしれない。

せっかくできた関係が壊れるかもしれない。

だから言えない。

気持ちはわかります。

でも、ここで一度考えてみてください。

あなたが断っただけで壊れる関係は、何によって維持されていたのでしょうか?

信頼でしょうか?

それとも、

「あなたが断らないこと」

でしょうか?

無料で動くのをやめたら離れた。

お金を貸すのをやめたら態度が変わった。

無理な頼みを断ったら連絡が来なくなった。

それは、境界線によって良い関係を失ったのではありません。

境界線によって、関係の正体が見えたんです。

ここを逆に捉えないことです。

境界線は、人を遠ざける壁ではありません。

相手がこちらを人として見ているのか、それとも資源として見ているのかを判別する検査です。

誠実な人は、境界線を伝えても交渉します。

「では、どこまでならお願いできますか」

「対価はどうしましょう」

「今回は難しいなら、また別の形で」

と話が続く。

一方で、あなたの従順さだけを求めていた人は、不機嫌になります。

罪悪感を刺激する。

今までの恩を持ち出す。

急に態度を冷たくする。

別の「断らない人」を探す。

その反応こそ、答えです。

あなたの従順さだけを求めていた人

罪悪感を刺激する。

今までの恩を持ち出す。

急に態度を冷たくする。

別の「断らない人」を探す。

VS
誠実な人

「では、どこまでならお願いできますか」

「対価はどうしましょう」

「今回は難しいなら、また別の形で」

では結局、搾取されたくなければ、ギブをやめるしかないのでしょうか?

そうではありません。

ギブは必要です。

ただし、ギブする対象と、ギブの形を変えます。

⑤ギブを減らさずに、搾取だけを止めるにはどうするか?

ギブで撃沈する人は、

「与えるか、与えないか」

の二択で考えます。

だから苦しくなります。

与えれば利用される。

与えなければ冷たい人になる。

でも、本当に決めるべきなのはそこではありません。

「誰に、何を、どこまで渡し、その後の何を見るか」

です。

ギブする前に、次の四つを文章にしてください。

相手は何に困っているのか。

自分は何を渡すのか。

どこまでで終えるのか。

渡したあと、相手のどんな行動を見るのか。

  1. 1

    相手は何に困っているのか。

  2. 2

    自分は何を渡すのか。

  3. 3

    どこまでで終えるのか。

  4. 4

    渡したあと、相手のどんな行動を見るのか。

例えば、Webについて困っている相手がいたとします。

そこで、

「何でも手伝います」

と言ってはいけません。

相手の問題を一つに絞り、自分が渡すものも一つに絞る。

そして渡したら、感謝の言葉ではなく、その後の行動を見ます。

実際に使ったのか。

結果を伝えてきたのか。

こちらの時間を尊重したのか。

次の依頼で条件を確認したのか。

当然のように追加要求をしてきたのか。

見るべきなのは、相手の笑顔でも、話の上手さでもありません。

受け取ったあとの行動です。

口のうまい人ほど、その場では感謝します。

「本当に助かりました」

「あなたはすごいですね」

「これから一緒に面白いことをしましょう」

言葉はいくらでも出せます。

でも、こちらを尊重する人は、行動で返します。

必ず同じだけ返してくれる、という意味ではありません。

受け取ったものを雑に扱わない。

こちらの時間を無限だと思わない。

次も当然に無料だと決めつけない。

最低限、ここを見ます。

反応が悪ければ、ギブを増やさない。

説明して説得しようともしない。

小さく渡して、相手の反応を見る。

良い反応があれば、次を渡す。

これが、搾取されないギブです。

ギブは善人であることの証明ではありません。

相手との関係を確かめる、小さな取引なんです。

木の机の上に開いたノートパソコン。画面に文章が表示され、周りに本が積まれ、手前に赤い書き込みの入った紙とペンと眼鏡が置かれている。

⑥「自分を差し出すギブ」から「価値が届く仕組み」へ変えられないか?

今の僕は、顔を出していません。

人前でも話しません。

その場で話す打ち合わせもしていません。

案内も販売ページも、全部文章で書いています。

ショート動画はキャラクターの口パクです。

ロング動画のナレーションは、自分の声を学習させたAI音声を使っています。

昔の僕なら、

「人前で話せるようにならなければ」

「もっと人あたりよくならなければ」

「その場で相手を魅了できなければ」

と思っていたでしょう。

尊敬した人のようになろうとしていたからです。

でも、今は違います。

価値を届けるために、自分を別人にする必要はありません。

文章で届けられるなら、文章で届ければいい。

リアルタイムで話すのが苦手なら、その場で話さなくても成立する形を作ればいい。

ここには大きな違いがあります。

誰か一人の要求に応え続けるギブは、自分の時間を削ります。

一方で、文章や動画として残すギブは、必要な人が受け取れます。

前者は、

「この人に認めてもらうためのギブ」

です。

後者は、

「困っている人に価値を届けるためのギブ」

です。

同じように見えて、目的がまったく違います。

ギブが大事なのは事実です。

ただし、差し出すべきなのは、自分の尊厳ではありません。

知識です。

経験です。

問題を解決する方法です。

相手が前に進むための材料です。

自分自身を丸ごと明け渡す必要はないんです。

結論:「先に与えろ」は、「先に服従しろ」という意味ではない

ギブを真に受けて撃沈する人は、価値を与えすぎたのではありません。

判断を相手に渡してしまったんです。

何をするか。

どこまでやるか。

いつ終えるか。

どんな扱いを受け入れるか。

その決定権まで相手に渡して、

「見返りを求めてはいけない」

と自分に言い聞かせる。

それはギブではありません。

自己放棄です。

本当のギブには、判断があります。

誰に渡すのか。

何を渡すのか。

どこで止めるのか。

相手のどんな行動を見て、次を渡すのか。

ここまで自分で決める。

本当のギブには、判断があります。
誰に渡すのか。何を渡すのか。どこで止めるのか。

だから、ギブと搾取は両立しません。

正しく設計されたギブは、相手を助けながら、こちらも守ります。

合わない相手を早く見つけ、誠実な相手との関係だけを深くする。

それができます。

僕は、口だけがうまく、人あたりのいい人間が世の中を渡っていくのを見てきました。

そして自分は、不器用な側だと思っています。

だからこそ、不器用な側で、うまくいった例になりたい。

そのために必要なのは、誰よりも我慢することではありません。

自分に合った形で価値を届け、雑に扱う人からは静かに離れることです。

あなたがギブしたのに苦しくなっているなら、与える力が足りないのではありません。

一度、確かめてみてください。

あなたは、本当に相手を助けたいのでしょうか?

それとも。

助け続けることで、その人に選んでもらおうとしているのでしょうか?

この二つを分けられたとき、ギブは自己犠牲ではなくなります。

ようやく、価値になります。

誰にも気づかれない夜の、君へ

AIに書けるものは、これから一番安くなる。
君の生き様は、これから一番、値がつく。

機能で消耗する時代は、静かに終わっていく。武器になるのは、何度もコケて、それでも続けてきた、君の生き方の方だ。それは作るものじゃない。もう、君の中に埋まっている。

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