どうも。
有料の記事や教材を作ってみたい。でも、値段をつけるところで手が止まってしまう。
「自分には、人に誇れるような実績がない」
「ネットで調べれば分かることなのに、お金をもらったら詐欺みたいじゃないか」
こう感じる人は、少なくないと思うんです。
自分が買う側だったら、がっかりしたくない。だから、売る側になろうとすると「自分なんかが」という気持ちになるんですよね。
ただ、ここで一つ考えてみてほしいことがあります。
資格の勉強法をまとめた本や、仕事で使う道具の比較資料を買うとき、僕らは何にお金を払っているんですかね。
そこを具体的に考えると、「自分には大成功した実績がない」という悩みの見え方が、少し変わってきます。
①無料で調べられるのに、なぜまとめ本を買うんですか?
たとえば、資格試験の勉強を始める場面を考えてみてください。

試験の概要や出題範囲など、公式サイトで確認できる情報はあります。勉強法を紹介する記事も見つかるでしょう。
それでも、最初の一冊を買いたくなることってありますよね。
情報が見つからないというより、
「結局、どこから読めばいいの?」
「自分に必要なのは、どの部分?」
「この説明は、今の試験にも当てはまるの?」
という確認を、一つずつ自分でやるのが大変だからです。
必要な情報がまとまっていて、読む順番も分かる。用語の説明があり、分からなくなったら戻る場所もある。それなら、本を買う理由になります。
もちろん、内容が正確か、書き手に必要な知識があるかも大事です。ただ、あらゆる題材で「人生を変えるほどの大成功」が求められるわけではありません。
買う人が求めている仕事は、もっと具体的です。
「自分がこれから調べて迷う部分を、先に整理しておいてほしい」
ここに、お金を払う理由があります。
この記事でいう「知の交換ビジネス」は、調べたことや経験から得た知識を、相手が使える形にして渡す商売です。
知識を教わったり、調べる手間を引き受けてもらったりすることは、AIが登場する前から行われてきました。自分ですべてを調べる代わりに、誰かの知恵や整理を受け取るわけです。
そう考えると、最初の商品を作るために探すものも変わります。
「人よりすごい自分」を探すより、「誰かの代わりに引き受けられる調べもの」を探してみる。
ただ、ここで気になることがありますよね。
調べさえすれば、それで商品になるんでしょうか。
②何日も調べたのに、「これなら自分でも探せる」と言われるのはなぜ?
ここからは、説明のための仮の例です。

一人で仕事をしている人に向けて、オンライン会議の文字起こしツールを比較する資料を作るとします。
何日もかけて検索し、候補を集めて、機能を並べます。せっかく調べたので、見つけた情報はできるだけ入れます。
資料は分厚くなりました。作った側には、かなりの達成感があります。
でも、受け取った人は途中で困ってしまいます。
「候補は分かったけど、自分はどれを試せばいいの?」
こうなると、買った人は資料を読みながら、もう一度比較を始めなければいけません。
調べた労力はかかっています。ただ、その労力が、相手の手間を減らすところまで届いていないんです。
では、同じ調査をどう整理すればいいのか。
たとえば、対象を「週に一度の会議で使う、最初の一つを選びたい人」に絞ってみます。
その人が確かめたいのは、候補の多さより、次のようなことです。
- 自分の会議時間で使える料金プランはどれか。
- 文字起こしのあと、文章を修正できるか。
- 必要な形式で保存できるか。
- 契約前に、どこまで試せるか。
この条件をそろえて比較し、それぞれの確認先まで付けておく。それなら、読む人は自分に合う候補を選びやすくなります。
調べて整理する労力は、相手の「探す・比べる・確かめる」を助けることで、価値になります。
僕も、自動車メーカーで設計の仕事をしていた頃、問題を細かく分けたり、原因を探したりしていました。でも、その考え方を、わざわざ価値だとは思っていなかったんです。
長くやってきたことほど、自分には普通に見えるんですよね。
調べものも同じです。自分では「検索してまとめただけ」と感じても、これから調べる人には、用語の意味も、見るべき項目も分かっていないことがあります。
その人が迷うところまで整理できれば、引き受けた仕事を具体的に説明できます。
では、まだ詳しくない分野を調べて商品にする場合、どこまで言っていいんですかね。
③使ったことがないツールを、有料で比較してもいいんですか?
先ほどの例なら、まず「何を確かめた資料なのか」を明確にします。

公式サイトを調べて、料金や対応機能を同じ条件で整理した。それなら、その調査内容を渡す商品として考えられます。
ただ、実際に使っていないなら、録音の精度や操作のしやすさまでは確認できていません。
ここを曖昧にしたまま「これが一番使いやすいです」と書くと、調べた範囲を超えてしまいます。
商品説明も、たとえばこう書けます。
初めて文字起こしツールを選ぶ人向けに、候補三つの料金・利用条件・保存方法を公式情報から整理した比較資料です。確認日と参照先を掲載しています。録音精度や操作感の実使用レビューは含みません。
これなら、買う人は「自分が欲しいものか」を判断できます。
実際に試して比較したなら、試した条件と、その条件で分かったことを加えればいいんです。まだ調べていないところを、詳しそうな言葉で埋める必要はありません。
「実績がないから売れない」と考えていた人も、ここまで具体的にすると、確かめることが見えてきませんか。
今回引き受けた調査は、きちんと終わっているか。情報を同じ条件で比べられるか。分かったことと、まだ分からないことが伝わるか。
自分の経歴をずっと気にする代わりに、商品そのものを確認できます。
なお、情報を整理することと、他人の記事をほぼそのまま写すことは別です。参照先を確認し、自分で比較する項目を決め、読む人に必要な説明を自分の言葉で組み立てます。
そこまでやろうとすると、「初心者には大きな教材を作れない」という不安も出てきますよね。
では、最初から大きな教材にする必要はあるんですかね。
④「ちゃんとした教材」を作ろうとして、仕事を増やしすぎていませんか?
初めて値段をつけるときほど、内容を増やしたくなります。

比較表だけでは申し訳ない気がして、用語集を付けます。さらに使い方の解説や、仕事術の話まで加えます。
買った人に損をさせたくない。その気持ちは分かります。
でも、説明を増やすたびに、調べ直すことも、間違いがないか確認することも増えていきます。読む人にも、自分に必要な部分を探す手間がかかります。
最初は、一つの困りごとについて、引き受ける仕事を決めてみてください。
先ほどの比較資料なら、こんな順番です。
- 使う人を決めます。
「週に一度、オンライン会議の議事録を作る人」のように、使う場面を書きます。
- その人が決めたいことを書きます。
今回なら「最初に試すツールを一つ選ぶ」です。
- その判断に必要な項目を調べます。
料金、利用条件、修正や保存の方法などを、候補ごとに同じ項目で確認します。
- 見本と商品説明を用意します。
比較表の一部を見せ、何を調べた資料か、何は扱っていないかを伝えます。
ここまでできれば、少なくとも「何を渡す商品なのか」は説明できます。
さらに想定する相手に見てもらえるなら、「分かりやすかったですか?」だけで終わらせないほうがいいです。
「この資料で、最初に試す候補を選べましたか?」
「決めるために、ほかに何を調べたくなりましたか?」
と聞いてみてください。
足りない説明が見つかったら、そこを補います。関係のないページを増やすより、相手が止まったところを直すほうが、今回の商品を使いやすくできます。
ただ、使いやすいものを作れても、最後の販売ボタンはやっぱり怖いんですよね。
⑤それでも値段をつけるのが怖いとき、何を見ればいいんですか?
無料で出すなら、少し気が楽です。有料にすると、「この程度で?」と思われそうになります。

そこで慌てて、実績を大きく見せたり、効果を強く言い切ったりすると、自分でも安心して売れなくなります。
僕は、値段をつける前に、次の三つを確かめてほしいと思っています。
「誰の、どの調べものを引き受けたのか」
「買う人が、中身を見て必要か判断できるか」
「説明した内容を、実際に渡せるか」
この三つです。
もちろん、条件をそろえれば必ず売れるわけではありません。相手に需要があるか、その価格で買いたいかは、別に確かめる必要があります。
でも、売れるかどうかの不確実さと、不誠実な売り方をすることは、分けて考えていいんです。
大成功した実績がなくても、引き受けられる仕事はあります。
用語を調べて説明する。散らばった情報を同じ条件で比べる。変更されやすい情報に確認日と参照先を付ける。初めての人が迷う順番で並べ直す。
それを必要としている人に、内容と値段を伝えて選んでもらう。そういう「知の交換」から始めていいと思うんです。
今日、最近自分が調べたことを一つだけ書き出してみてください。
その下に、
「これは、誰が何を決めるときに使える情報か」
と一行書いてみます。
相手が浮かばなければ、まず誰が困っているかを探します。相手が浮かんだら、その人がもう一度検索しなくても済むように、何を整理すればいいかを考えます。
最初の商品は、自分のすごさを証明するために作らなくていいんです。
「これを調べるの、大変でしたよね。必要なところを確認して、比べられるようにしておきました」
そう言って渡せる仕事から、始めてみてください。























