どうも。
「好きなことを書き出しましょう」「得意なことを棚卸ししましょう」
商品を作ろうとすると、こういうワークに出会いますよね。
旅行が好き。文章を書くのが好き。表を作るのは得意。人から相談されることもある。
シートは、そこそこ埋まります。
でも、「この中の何に、お金を払ってもらえるんだろう」と考えたところで、また止まってしまう。
すると、別の自己分析を探します。もっと深く自分を知れば、稼げるテーマが見つかる気がするからです。
ただ、好きなことや得意なことが分かっても、まだ分からないものがあります。
それを使って、相手のどの困りごとを助けられるのか。ここが決まらないままでは、商品を作る基準が足りないんです。
①好きで作ったものが、「使うのが面倒」になるのはなぜですか?
例えば、Excelで表を作るのが好きで、得意な人がいるとします。ここからは、説明のための仮の例です。

その人が家計簿のテンプレートを作り始めると、いろいろ工夫したくなります。
費目を細かく分ける。グラフを追加する。年間の集計もできるようにする。色や配置も整える。
作っている本人は楽しいです。できることも増えて、商品らしくなってきます。
でも、使う人が知りたいのは、「今月、いつ、いくら引き落とされるか」だけだったらどうでしょう。
ファイルを開いたら、たくさんの入力欄がある。説明を読んで、費目を選んで、日々の支出も記録しなければいけない。
「ちゃんと使わなきゃ」と思いながら、閉じてしまう。
作り手が得意なことを増やした結果、相手の作業まで増えているんです。
もちろん、細かく分析したい人には、そうした機能が役立ちます。多機能な家計簿が悪いわけではありません。
問題は、誰が何をするための商品かを決める前に、作れるものから中身を増やしてしまうことです。
「好き」は、作る側の理由になります。
「得意」は、作る側の能力になります。
そこから、「この人が、この場面で使う理由」までつなげる必要があります。
ただ、これを聞くと、別の不安も出てきますよね。
需要を優先したら、自分がやりたくないことまで商品にしなければいけないんですか。
②需要に合わせたら、自分の嫌な仕事になりませんか?
相手が欲しがっているからといって、何でも引き受けると、今度は提供する側が苦しくなります。

個別対応を求められるたびに予定を変える。苦手な会話を毎回続ける。興味のない内容を、売れそうだからという理由だけで調べ続ける。
相手に必要とされることと、自分がその形で提供し続けられることは、両方確認したいんです。
僕は人混みや電車が苦手で、都内へ行くときはなるべく車にしています。人混みだと気を使って、それで疲れるんですよね。
こういう自分の性質を無視して、提供方法まで決める必要はありません。
商品でも、対面が負担なら文章を使う。毎回の即答が負担なら、質問を受け付ける範囲と回答時期を決める。繰り返し説明する内容なら、記入例や手順書にできないか考える。
ただし、その方法で相手の問題を助けられることが前提です。説明を読んでも操作できない人には、文章だけでは足りない場合もあります。
そこで確認したいのが、次の三つです。
| 確認すること | 具体的に見るもの |
|---|---|
| 相手が困っていること | いつ、何をしようとして、どこで止まるか |
| 自分が提供できること | 説明できる内容、作れるもの、確認できる範囲 |
| 続けられる提供方法 | 必要な作業、対応時間、負担になること |
この三つが合うところから、商品案を考えます。
相手が欲しい内容でも、今の自分が扱えなければ、学ぶか、範囲を狭める。自分が楽しく作れても、相手が使う理由を説明できなければ、商品化の判断は保留する。
好きや得意は、「何を売るか」だけでなく、「どう役に立ち続けるか」を決めるためにも使えます。
そう考えると、棚卸しの目的も変わりますよね。
自分の中から正解のテーマを発見する作業に、いつまでも頼らなくてよくなります。次は、相手が困る場面を具体的に調べる番です。
③「家計簿が続かない人」に、家計簿を売っていいんですか?
「家計管理に困っている人向け」

これだけでは、まだ何を作ればいいか決まりません。
使いすぎた費目を知りたい人もいます。夫婦で支出を共有したい人もいます。引き落とし日を忘れて、確認に慌てる人もいます。
同じ家計管理でも、必要なものは違いますよね。
だから、最初に聞きたいのは、「こんな商品があったら欲しいですか?」より、最近困った場面です。
先ほどの仮の例なら、対象になりそうな人へ、文章で次の三つを聞いてみます。
- 最近、支払いの確認で困った場面はいつですか。
- そのとき、何を確かめようとして、どこで手が止まりましたか。
- 今は、何を見たり、どんな作業をしたりして対処していますか。
ここで「家計簿が続かなくて」と返ってきたら、すぐに続けられる家計簿を作る、と決めないことです。
その人が家計簿をつけたい理由まで聞きます。
例えば、「次の引き落としを確認したいけれど、カードの明細と予定を毎回見直している」ということなら、日々の支出を全部記録する家計簿までは必要ないかもしれません。
既に分かっている支払日と金額を、確認しやすく並べる表から試せます。
反対に、費目ごとの使いすぎを分析したい人なら、その表では足りません。
聞いた内容によって、作るものを変える。ここが大事です。
「みんな、お金のことで困っています」は、商品を決めるには広すぎます。
誰が、いつ、何を確かめたいのか。その人が今している作業まで分かると、必要な中身と、今回は入れない機能を選べます。
でも、困りごとが分かっただけで、お金を払ってもらえるんですかね。
④困っていることと、お金を払う理由は別に確かめます
相手が困っていても、すでに使いやすい無料の方法を知っている場合があります。

スマホのカレンダーで十分な人もいます。自分で表を作れる人もいます。困ってはいるけれど、今は別のことを優先したい人もいます。
ここを見ないで、「需要がありました」と判断すると、また作り手の都合で進んでしまいます。
先ほどの支払い確認の表なら、まず仮の情報を入れた見本と、記入用の表を用意します。
それを対象になる人に使ってもらい、次を確認してください。
- 説明を読み、必要な情報を入れられたか。
- 確かめたかった支払い予定を見つけられたか。
- 今使っている方法と比べて、どの作業が減り、どの作業が増えたか。
入力する手間のほうが増えていたら、機能を追加する前に、入力欄や使う場面を見直します。
カレンダーで十分と言われたら、無理に優位性を作らないことです。その人にとっては、商品を買う理由がまだありません。
使えることを確かめたら、次に価格と提供条件を示して検討してもらいます。何が届くか、何を扱わないか、質問への対応はあるか。その条件も含めて、購入する理由があるかを確かめます。
「欲しいです」という返事だけで、売れると確認できたわけではありません。実際の購入判断と、購入後に使えたかどうかは、引き続き見る必要があります。
ただ、ここまで進めれば、何を直すかは具体的になります。
対象が違ったのか。中身が足りなかったのか。提供方法が合わなかったのか。価格に見合う違いを示せなかったのか。
自己分析をもう一枚増やすより、商品案について分かることが増えます。
⑤テーマが売れなかったら、「好き」まで捨てるんですか?
ここで、手が止まる理由がもう一つあります。

自分の好きなことを商品にすると、売れなかったとき、自分の好きなものまで否定された気がするんですよね。
だから、作る前の棚卸しを続けたくなる。シートの中にある限り、誰かに選ばれない結果を見ずに済むからです。
でも、商品案が合わなかったことと、あなたがそれを好きなことは、分けて扱えます。
Excelで表を作るのが好きでも、家計簿が合わなかったなら、別の場面を調べられます。同じ家計管理でも、対象や使い方を変える余地があります。
そして、趣味として楽しみ続ける選択もあります。好きなものを全部、収入に変える必要はありません。
商品づくりで確かめるのは、その好きや得意を、今回の相手に、今回の形で役立てられるかです。
今日、次の三行を書いてみてください。
好き・得意:自分が使える知識や作業を、一つ書く。
困っている場面:誰が、いつ、何をしようとして止まるかを書く。
最初の見本:その人が一つの作業や判断を進めるために、何を渡すかを書く。
二行目が書けなければ、相手の場面を調べます。
三行目が書けなければ、既存の方法を確認し、自分が助けられる範囲を考えます。
好きなことや得意なことを、そのまま商品にしてはいけない理由は、そこにまだ、相手が使う理由が入っていないからです。
自分をもっと立派に説明できるまで待つ必要はありません。
一人が困っている場面を調べて、自分が続けられる方法で、一つの見本を作る。まずは、その組み合わせを確かめるところから始めてみてください。






















