どうも。
「まずは、自分の強みを見つけましょう」
こう言われて、手が止まったことはありませんか?
真面目なところ。人に気を使えるところ。頼まれたことを最後までやるところ。
書いてはみたものの、「これで何か売れるんですか?」と聞かれると、よく分からなくなるんですよね。自分より真面目な人も、気が利く人も、いくらでもいそうです。
ところが、苦手なことになると、急に話が具体的になります。
頼まれると断れない。人前では言いたいことが出てこない。失敗したと思われるのが嫌で、分からないことも聞けない。
長所は三つ出すのも大変なのに、嫌なところなら次々と思いつく。
今日は、そんな人に向けた話です。
そのコンプレックスを、ただ「直さなければいけない欠点」として扱い続ける必要はありません。ただし、つらかった経験をそのまま並べれば、商品になるという話でもないんです。
では、その間に何が必要なのでしょうか。
①「簡単ですよ」と言われて、余計に困ったことはありませんか?
例えば、仕事の追加依頼を断れない人を考えてみます。ここからの仕事や商品に関する例は、説明のための架空の例です。

すでに締切を抱えているのに、また仕事を頼まれてしまいました。引き受けたら厳しいのは、自分でも分かっています。
そこで、仕事をうまく回している人に相談すると、
「無理なものは無理って言えばいいんですよ」
と返ってきます。
判断としては、その通りです。でも、その一言を言えないから困っているんですよね。
断ったら嫌な顔をされそうです。「前はやってくれたのに」と返されたら、何と言えばいいのか分かりません。返信を書いてみても、冷たい気がして消してしまいます。
この人が欲しいのは、「断ることも大切です」という説明の、その先です。
例えば、「その場で引き受けず、予定を確認してから返事をするには、どう書けばいいのか」。まずは、そこを知りたいわけです。
ここで、同じように断れずに困ってきた経験が役立ちます。
「無理です」とは送れないことも、謝りすぎると結局引き受ける流れになってしまうことも、自分が試してきた範囲なら具体的に説明できます。
得意な人が気にせず済んだところに、苦手だった人は何度も引っかかっています。その分、同じところで止まる人に説明できることがあるんです。
ただ、「僕も断れないんですよ」と言ってもらうだけでは、明日の依頼への返事は書けませんよね。
共感してもらったあとに、何を受け取れるのか。商品を考えるときは、そこまで必要になります。
②「僕も同じでした」と聞いたあと、何が欲しくなりますか?
同じことで苦労した人の話を聞くと、少し安心します。

自分だけがおかしいわけではなかった。あの場面で困った人が、ほかにもいた。その安心には意味があります。
僕も、独立して少し経った頃、話がうまくて自信のある人を尊敬して、弟子にしてもらおうとWebまわりを手伝ったことがあります。自分のお金も使いましたが、いつまでたっても何も教えてもらえませんでした。
何を教えてくれるのか尋ねると、私の言うことを聞いていればいい、という返事だったんです。
似た経験がある人なら、この話に何か感じるところはあると思います。
でも、同じような関係に悩んでいる人へ何かを提供するなら、腹が立った話だけでは足りません。
この体験を材料に商品を考えるなら、例えば、手伝い始める前に何を確認するか。担当する範囲や、教えてもらえる内容を、どういう言い方で尋ねるか。返事が曖昧なままなら、どこで引き受けるのをやめるか。
そういう具体的な内容を用意し、使えるかどうかも確かめる必要があります。
つらかったことを分かってもらうのと、相手が次にすることを決められるのは、別のことなんですよね。
コンプレックスが商品につながるのは、同じことで困っている人へ、実際に使える工夫を渡せるときです。
失敗談があるから、すぐにお金を取れるわけではありません。でも、自分がどこで困ったかを知っていることは、その工夫を考える材料になります。
そうなると、今度はこう思う人もいるはずです。
「でも、まだ克服できていない自分が、人に教えてもいいんですか?」
③まだ苦手なままなら、何も教えられないんですか?
苦手を全部克服してからでなければ、何も渡せない。そう考えると、いつまでも準備が終わりません。

ここで確認したいのは、自分が立派になったかどうかより、何をどこまで助けられるかです。
先ほどの「断れない人」なら、強く断ることは今も苦手でも、その場で「やります」と返事をしないための言い方は、用意できる場合があります。
例えば、こんな文です。
いま抱えている作業を確認して、今日の15時までにお返事します。
同じ上司から複数の仕事を頼まれているなら、こう尋ねる方法もあります。
いま担当しているAと、今回のBは、どちらを優先すればよいですか?
もちろん、返答する時刻は実際の期限に合わせます。後者は、相手が両方の作業の優先順位を決められる場合に使う文です。
こうした文を、どの場面で使うのかまで説明するわけです。
「断れない性格を直します」と大きく約束する必要はありません。「引き受ける前に、期限と優先順位を確認する返信文を選べます」なら、提供する範囲が具体的になります。
ただし、思いついただけの対応と、自分が実際に試して使えた対応は分けてください。自分に役立った方法でも、ほかの人が同じように使えるかは、別に確かめることが残っています。
苦手を知っているだけで、教える資格が自動的に手に入るわけではないんです。
それでも、「自分はまだダメだから」と全部を引っ込める必要はありません。確かめた範囲を、正確に渡せばいい。
ところが、ここまで小さくすると、別の不安が出てきます。
「返信文が数本だけで、お金をもらっていいのかな」と。
④お金を取るのが怖くなって、分厚くしていませんか?
商品を作り始めると、自分の作ったものが急に頼りなく見えることがあります。

返信文だけでは薄い気がします。そこで、考え方の解説を足し、自分がどれだけ苦労したかを書き、気持ちの持ち方も追加します。
気づけば、使える返信文にたどり着くまで、長い失敗談を読まなければいけません。
最後は「自分を大切にしましょう」で終わっている。でも、読む人は、今日来た依頼に何と返せばいいのか分からないままです。
これ、作る側の不安を減らすために、読む側の作業を増やしてしまっているんですよね。
内容を足すなら、使うときに必要になる説明を足したいところです。
「この文は、初めて頼まれたときに使います」
「すでに引き受けている場合は、こちらの書き方に変えます」
「こう返されたら、次は期限を確認します」
こういう違いが分かれば、読む人は自分の場面に合わせて選べます。
あなたが苦労した大きさと、相手が払う金額は、そのまま比例しません。
無料の定型文を見つければ済む人もいます。一方で、定型文を見ても「自分の場合にどう変えればいいか」が分からず、その選び方や書き換え例を必要としている人もいます。
価格を考えるなら、相手が困っている場面、ほかの方法で済むかどうか、こちらが実際に助けられる範囲を確かめます。対応にかかる手間も含めて、続けて提供できる条件にする必要があります。
「こんなにつらかったんだから、高く売りたい」だけでは、買う側の理由は決まりません。
その経験を通じて何を具体的に渡せるのか。そこを説明できるようにすることが先です。
でも、そのために、恥ずかしい過去まで全部公開しなければいけないのでしょうか。
⑤誰にも言いたくない経験まで、さらす必要はありますか?
過去を全部話す必要はありません。

相手の名前や詳しい経緯を出さなくても、「依頼を引き受ける前に確認する項目」や「返事を保留するときの文例」は渡せます。
体験談を公開するかどうかと、その経験から考えたものを提供するかどうかは、分けて決めていいんです。
無理に傷を告白して、反応を集める必要はありません。見本を見せ、使う場面と限界を説明することで、買う前に内容を確かめてもらう方法もあります。
まずは、次の順番で一つ作ってみてください。
- 自分が困った場面を一つ書きます。
「人付き合いが苦手」までで止めず、「追加の仕事を頼まれて、予定を確認する前に引き受けてしまった」まで具体的にします。
- 実際に試した対応と、その結果を並べます。
うまくいかなかった対応、少し助けになった対応、使えなかった条件を分けます。まだ試していないことは、未検証として残してください。
- その場面で使えるものを、一つ作ります。
返信文、確認表、作業の手順など、相手が次の行動に使える形にします。過去の自分なら、どこで迷うかも確認します。
- 同じ場面で困っている人に、使えるか確かめてもらいます。
「いい話でしたか」ではなく、「どこなら使えそうですか」「使おうとすると、どこで止まりますか」と聞きます。実際に使ってもらえたら、その後に残った困りごとも確認します。
「共感しました」と返ってきたら、自分の話を分かってもらえた反応として受け取ってください。
ただ、有料の商品として確かめる段階では、内容と価格を示したうえで、その条件で必要とされるかを見る必要があります。無料で使ってもらえたことだけでは、購入する理由まで確かめたことにはなりません。
ここまで進めると、自分の長所を立派な言葉で説明できなくても、具体的な商品案を検討できます。
「気配りができます」と自己紹介するより、「依頼を断れず困る人が、引き受ける前に使う返信文を作りました」と見せるほうが、相手も必要かどうかを判断できますよね。
強みを探して、自分に点数をつける作業は、いったん休んでいいと思います。
その代わり、メモを開いて、「あのとき、何があれば助かったか」を一つ書いてみてください。次に、それを今の自分が用意できるか、確かめてみます。
コンプレックスが消える日を待たなくても、誰かに渡せるものを考え始めることはできます。
自分が嫌だったあの場面で、次の人が少し動きやすくなる。そのために何を作れるかを、考えてみてほしいんです。























