どうも。
「まずは、自分の強みを見つけましょう」
副業や発信を始めようとすると、よく言われますよね。
そこで、自分の長所を書き出してみます。真面目、責任感がある、人の話を聞ける。でも、書き終わったところで困ってしまいます。
「これで、何を売ればいいんだろう?」
しかも、周りを見れば、自分より詳しい人も、実績のある人もいくらでもいます。せっかく書いた長所まで、だんだん大したものには思えなくなってくるんですよね。
一方で、自分のダメなところなら、すぐに思いついたりしませんか。
人に頼めない。断れない。考えすぎて動けない。何度も同じところで失敗してしまう。
できれば、誰にも知られたくない話です。
ただ、その中に一つ、こんな経験はないでしょうか。
「これが苦手だったから、自分なりに工夫するしかなかった」
今日は、この経験を少し具体的に見てみたいと思います。立派な強みが見つからなくても、誰かに渡せるものはあるからです。
①「ちゃんと断りましょう」で断れるなら、もう困っていないんですよね
例えば、頼まれた仕事を断れず、いつも抱え込んでしまう人を考えてみます。ここからの仕事の場面は、説明のための仮の例です。

すでに締め切りの近い仕事が二つあるところへ、上司から追加の依頼が来ます。
本当は厳しい。でも、「今は難しいです」と言ったら、仕事のできない人だと思われそうです。相手も忙しそうなので、その場では「分かりました」と答えてしまいます。
そして、帰る時間になってから、一人で困るわけです。
この人に、
「優先順位をつけましょう」
「無理な仕事は、きちんと断りましょう」
と伝えたら、明日からできるようになるでしょうか。
言っていることは正しいんです。ただ、本人もそれは分かっています。分かっていても、相手を目の前にすると言えないから困っているんですよね。
では、同じところで何度も失敗してきた人なら、何に気づけるか。
「断る言葉を考える前に、その場で引き受ける返事をしないほうがいい」
「頭の中だけで考えると説明できないから、今の仕事と締め切りを先に書いておいたほうがいい」
こういう、実行する直前の問題です。
得意な人は、そこを意識せずに済ませていることがあります。でも、苦手だった人には、そこで手が止まる理由が分かります。
そう考えると、自分が何度もつまずいた経験の見え方が変わってきます。
「自分はダメだ」と責める材料の中に、同じところで困る人へ説明できることが含まれているんです。
ただ、苦労した経験があれば、そのまま商品になるわけでもありません。ここを間違えると、勇気を出して書いたのに売れない、ということが起きます。
②「共感しました」と言われたのに、買われない理由
失敗談を書くとき、つい詳しく書きたくなります。

どれほどつらかったか。どれほど恥ずかしかったか。周りと比べて、どんな気持ちだったか。
それを読んで、「私も同じです」と感じる人はいると思います。でも、共感することと、お金を払って使いたいと思うことの間には、まだ違いがあります。
僕にも、人に話しやすいとは言えない経験があります。
30代後半くらいまで、外に出て夜8時を過ぎると、親から電話がかかってきていました。同年代の友人は結婚して子どももいるのに、自分はまだ心配されている。それが恥ずかしくて、疲れたんですよね。そのことが、一人暮らしを決めるきっかけになりました。
似た状況にいる人なら、この話に何か感じるものはあると思います。
ただ、この話だけでは、一人暮らしに向けて何を準備すればいいのかまでは分かりません。僕が経験したことと、相手が実行できるように説明できることは、分けて考える必要があります。
先ほどの、仕事を断れない人の例でも同じです。
「僕は断れなくて、こんなに苦しみました」という話を読んでも、明日の追加依頼への返事は、まだ書けません。
そこで、
「今の仕事を整理する記入欄」
「すぐに引き受けず、確認するための返事」
「締め切りが重なったときの相談文」
まであれば、使えるかどうかを考えられます。
お金を払う理由は、失敗談の長さではなく、その経験を使って相手が何をできるようになるかにあります。
ここが曖昧なままだと、反応が薄いときに「もっと深い話をしなきゃ」と考えてしまいます。告白する内容だけが重くなり、読む人が使えるものは増えていない。これは避けたいところです。
では、経験をどう整理すれば、使えるものにできるのでしょうか。
③長い失敗談を書く前に、明日の返信を一通つくってみる
最初から、自分の半生をまとめる必要はありません。

まず、困った場面を一つだけ選びます。「人付き合いが苦手」では広すぎるので、「仕事が重なっているのに、追加の依頼を引き受けてしまう」まで具体的にします。
そのうえで、次の四つを書いてみてください。
- いつ困るのか。
締め切りの近い仕事があるところへ、追加の依頼が来たとき。
- 何が怖くて動けないのか。
難しいと言ったら、能力ややる気がないと思われそうで、その場で引き受けてしまう。
- 先に何を確かめればよかったのか。
今ある仕事の締め切りと、追加された仕事の締め切り。どの仕事を先にするかを決められる相手。
- その場で使えるものは何か。
仕事と締め切りを書き出す表と、優先順位を相談する例文。
例えば、上司が仕事の順番や期限を調整できる職場なら、こんな文面を考えられます。
追加のご依頼について確認させてください。現在、Aを木曜、Bを金曜の締め切りで進めています。Cも今週中に対応する場合、AかBの日程調整が必要です。どれを優先すればよいか、ご相談できますか。
この文面では、相手に判断してもらうための情報を先に揃えています。「無理です」の一言を言うより、相談しやすい人もいるはずです。
もちろん、この例文だけで、どんな職場の問題も解決できるわけではありません。
でも、「断るのが苦手な自分を直さなきゃ」と悩んでいた人が、「まず仕事と期限を書き出して、この形で相談してみよう」と考えられるところまでは、具体的にできます。
ここまで作ると、商品として何を渡すのかも見えてきます。
「断れない性格を克服する完全講座」と大きく広げる前に、「追加依頼を受けたとき、仕事の優先順位を相談するための一枚」を作ってみる。
そのほうが、作る側も、使う側も、何を確かめればいいか分かります。
ただ、ここで気になることがありますよね。
「今も断るのが苦手な自分が、人に教えていいの?」
④苦手なまま教えたら、信用を失いませんか?
弱さを出せば親しみを持ってもらえる。そう言われても、不安になると思います。

お金を受け取るなら、なおさらです。「この人もできていないじゃないか」と思われたくないですよね。
ここで確かめたいのは、苦手を完全に克服したかどうかより、何についてなら、実際に使えた方法を説明できるかです。
今も、とっさに断るのは苦手かもしれません。それでも、仕事と期限を文章にして相談したことで、引き受ける前に調整できた経験があるなら、そのとき何を書いたのか、どんな条件だったのかは説明できます。
反対に、自分でも試していない方法なら、「これで解決しました」という体験にはできません。まず仮の案として試し、何が起きたかを確かめる必要があります。
ここを丁寧にすると、見せ方も変わります。
「僕はもう、どんな相手にも堂々と断れます」と背伸びする必要がなくなります。「口頭ではうまく伝えられないので、この内容を先に書いています」と、実際の工夫を見せられるからです。
その説明なら、同じように口頭で困る人が、自分にも使えそうかを判断できます。
また、経験を使うために、話したくない事情まで公開する必要はありません。
当時の相手とのやり取りを全部出すより、判断に必要だったことや、役立った手順を取り出すほうが、読む人にとって使いやすい場合もあります。
弱さを無理に立派な物語に変えず、確認できる工夫を渡す。僕は、その形で十分だと思っています。
では、それに実際にお金を払う理由があるかどうかは、どう確かめればいいのでしょうか。
⑤「欲しいです」と「お金を払って使う」の間を確かめる
一枚できたら、同じ場面で困っている人に見てもらいます。

このとき、「どうですか?」だけでは、判断が難しいんですよね。相手も気を使うので、「いいと思います」と答えてくれることがあります。
それより、次のことを聞いてみてください。
- 直近では、どんな依頼への返事に困りましたか。
- この一枚を使うなら、どこで手が止まりそうですか。
- 今は、その場面をどうやってしのいでいますか。
できれば、実際に使ってもらったあとも確かめます。
仕事と期限を書けたのか。相談文を自分の状況に合わせられたのか。それとも、何を書けばいいか分からず、最初の欄で止まったのか。
例えば、記入欄を増やすより、「締め切りが決まっていない場合の聞き方」が一つあったほうが助かる、と分かることもあります。
そうやって、相手が使えなかった部分を直していきます。
そのうえで有料にするなら、対象者、中身、使える場面、価格を揃えて案内します。「欲しいと言ってもらえた」ことと、その条件で購入されたことも分けて見てください。
ここで、高く売ることについても少し考えておきたいんです。
コンプレックスが深刻だったから、高い値段をつけられるわけではありません。価格を考えるなら、相手が今どれほど困っているか、何を省けるか、ほかの方法ではどんな手間がかかるかを確かめる必要があります。
一般的な例文を一つ見れば済む人もいます。一方で、自分の仕事を整理し、実際に送れる文章にするところまで手伝ってほしい人もいます。必要としているものが違うので、提供する内容も変わります。
売れなかったときも、「自分の経験には価値がなかった」と、全部まとめて結論を出さないでください。
困っている場面が違ったのかもしれないし、無料の方法で十分だったのかもしれません。商品が助けられる範囲や、価格の説明が伝わっていなかった可能性もあります。
確かめる対象は、相手の困りごとと、こちらが用意したものの組み合わせです。自分の人生に点数をつける必要はありません。
自分を好きになるまで、始めるのを待たなくていい
「自分の強みは何か」と考えても、答えが出ない日はあります。

そんなときに、無理に自分を褒めなくてもいいと思うんです。
苦手なところは、今も苦手なままで構いません。ただ、そのせいで何に困ったのか、何を試したのか、何なら少しやりやすくなったのか。そこは、具体的に振り返れます。
今日、スマホのメモに一つだけ書いてみてください。
「自分が困っていたとき、これを先に渡してもらえたら助かった」
返事の例文でも、確認する順番でも、やらなくてよかったことでも構いません。まず、その一つを実物にしてみてください。
誰よりも優れた人にならなくても、同じところで困っている人へ渡せるものは作れます。
あなたがずっと隠したかった経験の中に、誰かが今、知りたくて困っていることが残っている。その可能性まで、強みが見つからないという理由で捨てなくていいんです。





















