売るために、自分を売り込まなくていい。|無言起業
凡人再起動ログ 全10話・完結

K.藍沢が、二度ゼロから立ち上がるまでの全記録。転んで、また立った、不格好な足跡の話だ。

転落① 転落② 上昇① 上昇②
二度の転落二度の上昇 2度目は、もっと深く。そして、もっと高く。
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「強み」なんて探さなくていい。あなたのコンプレックスに、誰かがお金を払う理由

どうも。

「まずは、自分の強みを見つけましょう」

副業や発信を始めようとすると、よく言われますよね。

そこで、自分の長所を書き出してみます。真面目、責任感がある、人の話を聞ける。でも、書き終わったところで困ってしまいます。

「これで、何を売ればいいんだろう?」

しかも、周りを見れば、自分より詳しい人も、実績のある人もいくらでもいます。せっかく書いた長所まで、だんだん大したものには思えなくなってくるんですよね。

一方で、自分のダメなところなら、すぐに思いついたりしませんか。

人に頼めない。断れない。考えすぎて動けない。何度も同じところで失敗してしまう。

できれば、誰にも知られたくない話です。

ただ、その中に一つ、こんな経験はないでしょうか。

「これが苦手だったから、自分なりに工夫するしかなかった」

今日は、この経験を少し具体的に見てみたいと思います。立派な強みが見つからなくても、誰かに渡せるものはあるからです。

①「ちゃんと断りましょう」で断れるなら、もう困っていないんですよね

例えば、頼まれた仕事を断れず、いつも抱え込んでしまう人を考えてみます。ここからの仕事の場面は、説明のための仮の例です。

比べる図。題「実行する直前の問題」。左「得意な人」に「意識せずに済ませている」、右「苦手だった人」に「手が止まる理由が分かる」

すでに締め切りの近い仕事が二つあるところへ、上司から追加の依頼が来ます。

本当は厳しい。でも、「今は難しいです」と言ったら、仕事のできない人だと思われそうです。相手も忙しそうなので、その場では「分かりました」と答えてしまいます。

そして、帰る時間になってから、一人で困るわけです。

この人に、

「優先順位をつけましょう」

「無理な仕事は、きちんと断りましょう」

と伝えたら、明日からできるようになるでしょうか。

言っていることは正しいんです。ただ、本人もそれは分かっています。分かっていても、相手を目の前にすると言えないから困っているんですよね。

では、同じところで何度も失敗してきた人なら、何に気づけるか。

「断る言葉を考える前に、その場で引き受ける返事をしないほうがいい」

「頭の中だけで考えると説明できないから、今の仕事と締め切りを先に書いておいたほうがいい」

こういう、実行する直前の問題です。

得意な人は、そこを意識せずに済ませていることがあります。でも、苦手だった人には、そこで手が止まる理由が分かります。

そう考えると、自分が何度もつまずいた経験の見え方が変わってきます。

「自分はダメだ」と責める材料の中に、同じところで困る人へ説明できることが含まれているんです。

ただ、苦労した経験があれば、そのまま商品になるわけでもありません。ここを間違えると、勇気を出して書いたのに売れない、ということが起きます。

②「共感しました」と言われたのに、買われない理由

失敗談を書くとき、つい詳しく書きたくなります。

紺の地の思い込みと本当はの図。上に「お金を払う理由は」。上の箱に×の印と打ち消し線つきで「失敗談の長さ」、下向きの矢印、下の箱に○の印と「その経験で相手が何をできるようになるか」

どれほどつらかったか。どれほど恥ずかしかったか。周りと比べて、どんな気持ちだったか。

それを読んで、「私も同じです」と感じる人はいると思います。でも、共感することと、お金を払って使いたいと思うことの間には、まだ違いがあります。

僕にも、人に話しやすいとは言えない経験があります。

30代後半くらいまで、外に出て夜8時を過ぎると、親から電話がかかってきていました。同年代の友人は結婚して子どももいるのに、自分はまだ心配されている。それが恥ずかしくて、疲れたんですよね。そのことが、一人暮らしを決めるきっかけになりました。

似た状況にいる人なら、この話に何か感じるものはあると思います。

ただ、この話だけでは、一人暮らしに向けて何を準備すればいいのかまでは分かりません。僕が経験したことと、相手が実行できるように説明できることは、分けて考える必要があります。

先ほどの、仕事を断れない人の例でも同じです。

「僕は断れなくて、こんなに苦しみました」という話を読んでも、明日の追加依頼への返事は、まだ書けません。

そこで、

「今の仕事を整理する記入欄」

「すぐに引き受けず、確認するための返事」

「締め切りが重なったときの相談文」

まであれば、使えるかどうかを考えられます。

お金を払う理由は、失敗談の長さではなく、その経験を使って相手が何をできるようになるかにあります。

ここが曖昧なままだと、反応が薄いときに「もっと深い話をしなきゃ」と考えてしまいます。告白する内容だけが重くなり、読む人が使えるものは増えていない。これは避けたいところです。

では、経験をどう整理すれば、使えるものにできるのでしょうか。

③長い失敗談を書く前に、明日の返信を一通つくってみる

最初から、自分の半生をまとめる必要はありません。

縦に4段の順番の図。題「困った場面を一つ選び、次の四つを書く」。1「いつ困るのか」2「何が怖くて動けないのか」3「先に何を確かめればよかったのか」4「その場で使えるものは何か」(4段目が光っている)

まず、困った場面を一つだけ選びます。「人付き合いが苦手」では広すぎるので、「仕事が重なっているのに、追加の依頼を引き受けてしまう」まで具体的にします。

そのうえで、次の四つを書いてみてください。

  1. いつ困るのか。

締め切りの近い仕事があるところへ、追加の依頼が来たとき。

  1. 何が怖くて動けないのか。

難しいと言ったら、能力ややる気がないと思われそうで、その場で引き受けてしまう。

  1. 先に何を確かめればよかったのか。

今ある仕事の締め切りと、追加された仕事の締め切り。どの仕事を先にするかを決められる相手。

  1. その場で使えるものは何か。

仕事と締め切りを書き出す表と、優先順位を相談する例文。

例えば、上司が仕事の順番や期限を調整できる職場なら、こんな文面を考えられます。

追加のご依頼について確認させてください。現在、Aを木曜、Bを金曜の締め切りで進めています。Cも今週中に対応する場合、AかBの日程調整が必要です。どれを優先すればよいか、ご相談できますか。

この文面では、相手に判断してもらうための情報を先に揃えています。「無理です」の一言を言うより、相談しやすい人もいるはずです。

もちろん、この例文だけで、どんな職場の問題も解決できるわけではありません。

でも、「断るのが苦手な自分を直さなきゃ」と悩んでいた人が、「まず仕事と期限を書き出して、この形で相談してみよう」と考えられるところまでは、具体的にできます。

ここまで作ると、商品として何を渡すのかも見えてきます。

「断れない性格を克服する完全講座」と大きく広げる前に、「追加依頼を受けたとき、仕事の優先順位を相談するための一枚」を作ってみる。

そのほうが、作る側も、使う側も、何を確かめればいいか分かります。

ただ、ここで気になることがありますよね。

「今も断るのが苦手な自分が、人に教えていいの?」

④苦手なまま教えたら、信用を失いませんか?

弱さを出せば親しみを持ってもらえる。そう言われても、不安になると思います。

思い込みと本当はの図。上に「確かめたいのは」。上の箱に×の印と打ち消し線つきで「苦手を完全に克服したかどうか」、下向きの矢印、下の箱に○の印と「実際に使えた方法を説明できるか」

お金を受け取るなら、なおさらです。「この人もできていないじゃないか」と思われたくないですよね。

ここで確かめたいのは、苦手を完全に克服したかどうかより、何についてなら、実際に使えた方法を説明できるかです。

今も、とっさに断るのは苦手かもしれません。それでも、仕事と期限を文章にして相談したことで、引き受ける前に調整できた経験があるなら、そのとき何を書いたのか、どんな条件だったのかは説明できます。

反対に、自分でも試していない方法なら、「これで解決しました」という体験にはできません。まず仮の案として試し、何が起きたかを確かめる必要があります。

ここを丁寧にすると、見せ方も変わります。

「僕はもう、どんな相手にも堂々と断れます」と背伸びする必要がなくなります。「口頭ではうまく伝えられないので、この内容を先に書いています」と、実際の工夫を見せられるからです。

その説明なら、同じように口頭で困る人が、自分にも使えそうかを判断できます。

また、経験を使うために、話したくない事情まで公開する必要はありません。

当時の相手とのやり取りを全部出すより、判断に必要だったことや、役立った手順を取り出すほうが、読む人にとって使いやすい場合もあります。

弱さを無理に立派な物語に変えず、確認できる工夫を渡す。僕は、その形で十分だと思っています。

では、それに実際にお金を払う理由があるかどうかは、どう確かめればいいのでしょうか。

⑤「欲しいです」と「お金を払って使う」の間を確かめる

一枚できたら、同じ場面で困っている人に見てもらいます。

問いの一覧の図。題「『どうですか?』より、次のことを聞く」。はてなの印つきで「どんな依頼への返事に困りましたか」「どこで手が止まりそうですか」「その場面をどうしのいでいますか」

このとき、「どうですか?」だけでは、判断が難しいんですよね。相手も気を使うので、「いいと思います」と答えてくれることがあります。

それより、次のことを聞いてみてください。

  • 直近では、どんな依頼への返事に困りましたか。
  • この一枚を使うなら、どこで手が止まりそうですか。
  • 今は、その場面をどうやってしのいでいますか。

できれば、実際に使ってもらったあとも確かめます。

仕事と期限を書けたのか。相談文を自分の状況に合わせられたのか。それとも、何を書けばいいか分からず、最初の欄で止まったのか。

例えば、記入欄を増やすより、「締め切りが決まっていない場合の聞き方」が一つあったほうが助かる、と分かることもあります。

そうやって、相手が使えなかった部分を直していきます。

そのうえで有料にするなら、対象者、中身、使える場面、価格を揃えて案内します。「欲しいと言ってもらえた」ことと、その条件で購入されたことも分けて見てください。

ここで、高く売ることについても少し考えておきたいんです。

コンプレックスが深刻だったから、高い値段をつけられるわけではありません。価格を考えるなら、相手が今どれほど困っているか、何を省けるか、ほかの方法ではどんな手間がかかるかを確かめる必要があります。

一般的な例文を一つ見れば済む人もいます。一方で、自分の仕事を整理し、実際に送れる文章にするところまで手伝ってほしい人もいます。必要としているものが違うので、提供する内容も変わります。

売れなかったときも、「自分の経験には価値がなかった」と、全部まとめて結論を出さないでください。

困っている場面が違ったのかもしれないし、無料の方法で十分だったのかもしれません。商品が助けられる範囲や、価格の説明が伝わっていなかった可能性もあります。

確かめる対象は、相手の困りごとと、こちらが用意したものの組み合わせです。自分の人生に点数をつける必要はありません。

自分を好きになるまで、始めるのを待たなくていい

「自分の強みは何か」と考えても、答えが出ない日はあります。

大きな一言の図。上に「今日、スマホのメモに一つだけ」、大きな字で「『自分が困っていたとき、これを先に渡してもらえたら助かった』」

そんなときに、無理に自分を褒めなくてもいいと思うんです。

苦手なところは、今も苦手なままで構いません。ただ、そのせいで何に困ったのか、何を試したのか、何なら少しやりやすくなったのか。そこは、具体的に振り返れます。

今日、スマホのメモに一つだけ書いてみてください。

「自分が困っていたとき、これを先に渡してもらえたら助かった」

返事の例文でも、確認する順番でも、やらなくてよかったことでも構いません。まず、その一つを実物にしてみてください。

誰よりも優れた人にならなくても、同じところで困っている人へ渡せるものは作れます。

あなたがずっと隠したかった経験の中に、誰かが今、知りたくて困っていることが残っている。その可能性まで、強みが見つからないという理由で捨てなくていいんです。

誰にも気づかれない夜の、君へ

AIに書けるものは、これから一番安くなる。
君の生き様は、これから一番、値がつく。

機能で消耗する時代は、静かに終わっていく。武器になるのは、何度もコケて、それでも続けてきた、君の生き方の方だ。それは作るものじゃない。もう、君の中に埋まっている。

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