売るために、自分を売り込まなくていい。|無言起業
凡人再起動ログ 全10話・完結

K.藍沢が、二度ゼロから立ち上がるまでの全記録。転んで、また立った、不格好な足跡の話だ。

転落① 転落② 上昇① 上昇②
二度の転落二度の上昇 2度目は、もっと深く。そして、もっと高く。
▶プロローグから読む→
順番は自由。気になった扉から、どうぞ。
▾全10話の目次を開く

AIが「100点の正解」を3秒で出したら、あなたの発信には何が残りますか?

どうも。

ちょっと、こんな状況を想像してみてください。

AIに質問すると、欲しかった答えが3秒で返ってきます。必要な知識は揃っていて、説明も分かりやすい。いわば「100点の正解」です。

その横に、あなたが半日かけて書いた記事が並んでいます。扱っているテーマも、伝えているノウハウも、ほとんど同じです。

このとき、読者があなたの記事を読む理由は、どこにあるんですかね。

今日は、「答えの質では差がつかなくなったら」という仮定から、発信する人の価値を考えてみたいと思います。

「もっと詳しく書こう」

「初心者にも分かるように説明しよう」

「具体例や図解を増やそう」

どれも、記事をよくするための工夫です。

でも、それをAIでもできるようになったら、次は何を増やせばいいんでしょう。

ここを考えずに記事の量だけ増やしていると、一生懸命書いているのに、自分から読んでもらう理由だけが増えていかないんですよね。

①名前を消しても同じ記事なら、読者は誰を選ぶんですか?

自分が最近書いた記事を、一つ思い浮かべてみてください。

比べる図。題「用事が済むことと、また読みたくなることは別」。左「残るもの」に「『答えが分かった』」。右「残るとは限らない」に「『この人の考えをまた聞きたい』」

その記事から、名前とプロフィールを消します。別の発信者の名前に差し替えても、内容にほとんど違和感がなかったらどうですか。

知識は正しい。説明も丁寧です。でも、誰が書いても成立してしまいます。

こういう記事には、調べものへの答えとしての価値があります。困ったときに読んで、問題が解決するなら、それはちゃんと役に立っています。

ただ、そこで用事が済むことと、次もあなたから読みたくなることは、別なんですよね。

「答えが分かった」は残っても、「この人の考えをまた聞きたい」まで残るとは限りません。

まして、同じ答えをAIから得られる読者に対して、「こちらのほうが頑張って調べました」は、選ぶ理由になりません。調べた側の苦労と、読む側が受け取るものは同じではないからです。

厳しいですが、AIが同じ答えを出した途端に選ぶ理由がなくなるなら、その発信は、情報を届ける機能だけで評価されていたということです。

そこで、さらに情報量を増やして競い続けるのか。

それとも、記事の中に残していなかったものを見直すのか。

僕は、後者を考えたほうがいいと思っています。

でも、「自分にしか書けない知識なんてない」という人もいますよね。

そもそも、違いを出すために、誰も知らない知識が必要なんですかね。

②同じノウハウを知っているのに、なぜ勧めることが違うんですか?

例えば、SNSで発信を続ける方法を教える場面を考えてみてください。ここからは、説明のための仮の例です。

分かれ道の図。上に小さく「同じノウハウを知っていても」、題「何を大事にするかで、勧める順番が変わる」。出発点「『今日も出せなかった』人に」から、左「投稿機会を増やす」→「短くても毎日出す」、右「本業や睡眠を守る」→「投稿の約束を減らす」

予約投稿を使う。週末にまとめて作る。反応のあったテーマを続ける。過去の投稿を見直す。

使える方法は、いろいろあります。

ただ、本業が終わったあとに疲れた体で投稿を作り、「今日も出せなかった」と落ち込んでいる人に、最初に何を勧めるか。

ここは、知識を並べただけでは決まらないんですよね。

投稿の機会を増やすことを優先するなら、短くても毎日出す方法を考えます。

本業や睡眠を守りながら続けることを優先するなら、投稿の約束そのものを減らす案も出てきます。

どちらも、同じノウハウを知ったうえで選べる方法です。それでも、何を大事にするかによって、勧める順番が変わります。

その違いは、大げさな人生哲学だけに出るものでもありません。

僕は、読者のことを「リスト」と呼ぶのが、少し苦手です。業界では通じるし、便利な言葉なのも分かります。

でも、人間なのに、人間じゃないものとして扱っている感じがして、僕自身がそう呼ばれたら嫌なんですよね。だから、できるだけ「読者」と呼びたいと思っています。

うっかり使ってしまうことはあるかもしれません。それでも、どちらを使いたいかは決まっています。

これは、専門用語を知っているかどうかの話ではありません。知ったうえで、何を選ぶかの話です。

発信者の思想って、立派な言葉より、こういう小さな選び方に出るんです。

何を勧めるのか。何は、便利でも採用したくないのか。その理由は何なのか。

ここに、同じ知識を持つ人同士でも違いが生まれます。

ただ、それを聞いて「あなたの好みは分かったけど、それが自分に何の関係があるの?」と思う読者もいますよね。

ここを飛ばすと、思想のある発信を目指したつもりが、ただの自分語りになってしまいます。

③でも、あなたの「好き嫌い」に、お金を払う人はいるんですか?

好き嫌いを書くだけでは、お金を払う理由にはなりません。

一覧の図。題「ここまで書くと、単なる好みではなくなる」。チェックの印つきで「どんな人を想定しているのか」「何の負担を減らしたいのか」「何から始めるのか」

「僕は毎日投稿が嫌いです」と書かれても、読者は「そうなんですね」で終わってしまいます。

読む人が知りたいのは、自分がこれからどうすればいいのかです。

先ほどの例なら、こんな提案まで具体的にしてみます。

本業があって時間が限られる人に、最初から毎日新しい投稿を作る方法は勧めません。まず週末に一つ、自分が何を手伝えるのか分かる記事を作ってください。平日は、その記事の要点を短い投稿に分けて使います。毎回ゼロから考える負担を減らしながら、何をしている人か伝わる状態を先に整えたいからです。

ここまで書くと、単なる好みではなくなります。

どんな人を想定しているのか。何の負担を減らしたいのか。そのために、何から始めるのかが分かります。

もちろん、新しい投稿を減らせば、試せる話題や、見つけてもらう機会が減ることもあります。だから、記事を作って終わりにせず、要点を分けて届けたり、関連する既存記事から案内したりする工夫も必要です。

「無理をしない」と「読者に見つけてもらう」を、両方考えるわけです。

自分の美意識を守るために、読者の成果を放り出していいわけではありません。何を優先し、その代わりに生じる不都合をどう補うか。そこまで考えて、提案にします。

すると、読者は判断できます。

「この人は、毎日書けない自分に気合いを求めるのではなく、続け方から考えてくれるんだな」

この見通しがあるから、続きを読みたいと思えるし、さらに詳しい支援を頼む候補にもなるんです。

対価を払うかどうかは、困りごとの深さや、提案の中身、価格によっても変わります。ただ、知識が多いことだけでは見えなかった「この人を選ぶ理由」が、ここで具体的になります。

偏愛があるなら、人が見過ごす細かい困りごとまで気にしてしまいます。美意識があるなら、成果のためでも採らない方法があります。独自の解釈があるなら、同じ失敗からでも、別の改善案を考えます。

その違いを、読者が使える判断にまで変えること。僕は、ここに発信者の哲学、つまりMSPの意味があると思っています。

知識の網羅性で比較され続ける発信から、「この人の判断を頼りにしたい」と思われる発信へ変えていくんです。

でも、ここまで読んだ人なら、次の疑問も出てきますよね。

「その思想っぽい文章だって、AIに書かせられるんじゃないの?」

④その「思想」までAIが書けるなら、やっぱり人間はいらないんですか?

文章だけなら、書けます。

紺の地の思い込みと本当はの図。上に「思想を持つことは」。上の箱に打ち消し線つきで「同じ意見を一生言い続けること」、下向きの矢印、下の箱に「選んだ理由を、その都度説明できること」

「読者を大切にする独自の哲学を入れてください」と頼めば、もっともらしい主張を作ることもできます。

だから、語尾を人間らしくしたり、最後に「僕はこう思います」を足したりするだけでは、違いを保てません。

読者が確かめたいのは、その言葉が、実際の選び方にも表れているかです。

例えば、「本業を壊さずに続けましょう」と書いていた人が、商品を売る段階になった途端、「毎日投稿できない人は覚悟が足りません」と言い始めたら、どう感じますか。

売るものに合わせて主張を変えているように見えますよね。

反対に、本業が忙しい人へ勧める順番も、商品の提供方法も、購入前の説明も、同じ考えで決められていたら、その人が大事にしていることを確かめられます。

もちろん、考えが変わることはあります。そのときも、何を知って、なぜ変えたのかを説明すればいいんです。

思想を持つことは、同じ意見を一生言い続けることではありません。自分が何を理由に選んだのかを、その都度説明できることです。

AIは、そこで使えます。

考えへの反論を出してもらう。見落としている不都合を探してもらう。説明を分かりやすく整えてもらう。

ただ、最後に何を勧めるかまで、出てきた文章の都合で決めてしまわないことです。

「この結論は僕も納得しているのか」

「この条件の人にも勧められるのか」

「売れそうだから、都合の悪い説明を消していないか」

ここは、書き手が確認する必要があります。

AIに手伝ってもらっていても、自分の判断を説明できる記事にはなります。

では、その判断を、どこから見つければいいんですかね。自分には哲学と呼べるものがない、と感じる人もいると思います。

⑤「自分の哲学がない」と思うなら、消した一文を見直してみてください

次の記事を公開する前に、本文から、ごく普通の助言を一つ選んでみてください。

番号つきの一覧の図。題「助言について、三つだけメモしてみる」。1「どんな状況の人に勧めにくいか」2「何を優先したいか」3「何から始めるよう勧めるか」

「継続が大切です」

「読者の役に立ちましょう」

「まず行動してみましょう」

間違ってはいません。でも、これだけなら誰でも書けます。

そこで、その助言について、三つだけメモしてみます。

  1. どんな状況の人には、そのまま勧めにくいですか。

時間、お金、経験など、何の条件が違うと困るのかを書きます。

  1. その人のために、何を優先したいですか。

早く結果を出すことなのか、損失を抑えることなのか、本業を守ることなのか。今回の提案で優先するものを決めます。

  1. だから、何から始めるよう勧めますか。

「無理せず頑張る」で終えず、今週何を作るのか、何を減らすのかまで書きます。

この三つを本文に戻してみてください。

そうすると、ただ正しいだけだった助言に、対象と条件と、あなたの判断が入ります。

実体験を入れるなら、その判断を考えるための材料として使えば十分です。人生の全部を語らなくても、なぜそこが気になるのかを短く伝えるだけで、提案の理由は具体的になります。

ただ、ここで一つ、書く側にとって厄介なことがあります。

自分の判断を書いた一文ほど、公開前に消したくなるんですよね。

「そんなの、人によると言われそう」

「実績もないのに偉そうだと思われそう」

「違うやり方の人に嫌われそう」

それで、「どちらも大切です。自分に合う方法を選びましょう」と直してしまいます。

もちろん、条件や例外を書くことは必要です。事実が間違っていれば、直さなければいけません。

でも、反論されるのが怖いという理由だけで、何を勧めるかまで消してしまったら、読者が頼りにしたかった判断もなくなってしまいます。

あなたに思想がないのではなく、無難な文章へ直すたびに、自分の判断を削ってきた場合もあるんです。

もしそうなら、次の記事では、知識を足す前に、その一文を戻してみてください。

この状況の人には、僕はこれを勧めます。理由は、ここを大事にしたいからです。

そして、その理由を具体例と手順で支えてください。

AIが同じ知識を説明できる場面で、人間の発信者まで「詳しくまとめる係」だけを続ける必要はありません。

知識を使って、誰に何を勧めるのか。何は勧めたくないのか。そこまで伝えて初めて、読者はあなたを選ぶ理由を持てます。

人に選ばれたいなら、まず、自分が何を選ぶ人なのかを隠さないことです。

誰にも気づかれない夜の、君へ

AIに書けるものは、これから一番安くなる。
君の生き様は、これから一番、値がつく。

機能で消耗する時代は、静かに終わっていく。武器になるのは、何度もコケて、それでも続けてきた、君の生き方の方だ。それは作るものじゃない。もう、君の中に埋まっている。

LINEで4通の無料レターを受け取る →

無料 / LINEを追加するだけ / 4通で完結