MSPを磨く
1〜2行を、人に届く一文に
── 1問あたり5〜15分。今日は問い1だけでもいい ──
1 / 7はじめに
「最初の手紙」を最後まで読んでくれた君に、2通目を送る。
今日やることは、ひとつだけだ。最初の手紙の終わりに書いた1〜2行のスナップショットを、人に届く「一文」に磨いていく。時間は5〜15分くらい。書いたスナップショットを目の前に置いて読み進めてくれると、ちょうどいい。
まだ書いていない人は、ここで一度止めて、最初の手紙のワークに戻ってきてほしい。書いていない一文は、磨きようがないからだ。
今日やること
- 問い1〜3 で「素材」を出す
- 問い4 で 3つを統合して一文を作る
- 1問あたり 5〜15分 のペースでOK
今日やらないこと
- 完璧な一文を仕上げる
- SNSで発信する
- 4つを全部、今日中に終わらせる
2 / 7「磨く」って、どういうことか
最初に、ひとつ誤解を解いておきたい。
磨くというのは、新しいかっこいい言葉を作ることじゃない。自分の中にもうある言葉を、外に取り出すことだ。
新しい言葉を作る
外から借りてくる作業
コピーライティング本を読んで、
かっこいい表現を組み立てる。
中にある言葉を取り出す
自分がはっきり見えてくる作業
自分の中にすでにある何かを、
外に取り出す。
僕も最初は、コピーライティングの本を10冊以上買って積んだ。ノートに書き写しもした。それで言葉は少し上手くなったけど、刺さらなかった。
なぜか。自分自身のことがぼんやりしたまま、表現だけ磨こうとしていたからだ。
刺さる言葉は、語彙の多さじゃない。
自分のことを、どれだけはっきり分かっているかで決まる。
正直に言うと、13年やってきた今でも、夜中に布団の中で「明日の発信、本当に届くかな」と思うことがある。不安は消えない。ただ、自分のことが見えてきた分だけ、言葉の届く距離は確実に伸びた。
今日は、その「自分のことが、もっとはっきり見えてくるやり方」を渡す。
3 / 7100の壁
磨きの作業に入る前に、もうひとつだけ伝えておきたい。
「自分の中にある言葉を外に出す」── これは、思っているより簡単じゃない。
迷子ゾーン
本物の言葉
「もう出ない」
降りてくる言葉
── 100個を超えたあたりで、今まで思いつきもしなかった言葉が、ふっと降りてくる。それが、君の本当の言葉だ。
僕はこれを、自分の中で「100の壁」と呼んでいる。
僕自身、最初は30個書いた時点で「もう出ない、自分には言いたいことなんてない」と思って一度やめた。あのとき止めずに進んでいれば、僕の最初の一文は、半年早く生まれていたと思う。
── ただし、今日いきなり100個は要らない。今日は1つの問いにつき10個。それを問いごと・日ごとに積んでいけば、いつか自然と100に届く。「100の壁」は今日の話じゃなく、これから続ける君への予告だ。今日のノルマは、あくまで10個でいい。
4 / 7自己診断 ── 君は今、どこで詰まっているか
磨きに入る前に、ひとつだけ診断しておきたい。
言葉が人に届かないとき、原因は2つのどちらかだ。
ひとつは、自己理解(Why)が浅い場合。なぜ自分がそれを言うのか、自分でも輪郭が掴めていない。この状態だと、いくらコピーを勉強しても、出すべき中身がないから刺さらない。
もうひとつは、表現(How)が抽象的な場合。言いたいことはあるのに、それを映像が浮かぶ言葉にできていない。自分の中にはあるのに、相手の頭の中まで届かない。
この2つを切り分けるのが、磨きの第一歩だ。
1. 自己理解(Why)が浅い
「Why」が浅いとは、なぜ自分がそれを言うのか、自分でも輪郭が掴めていない状態のことだ。自分の根っこにある何かが、まだ言葉になる手前で眠っている。
例えば、こんな問いに、自分の言葉で2行以上、即答できるだろうか。
- 自分は、何に怒り、何を譲れないと感じてきたか
- 人生のゴールはどこにあって、なぜそこに向かいたいのか
- 過去、何に泣き、何を選び直してきたのか
- 「これだけは絶対にやりたくない」と感じる生き方は、なぜ嫌なのか
もし、すらすら出てこないなら、それが「Why」が浅いということだ。これは知識の不足じゃない。自分という人間を、まだ十分に見ていないだけだ。だから、コピーライティングの本を10冊読んでも、心理学を齧っても解決しない。出すべき中身がそもそも見えていないから、いくら表現技術を磨いても空回りする。
必要なのは、本を読むことじゃない。自分との対話を、時間をかけて深めることだ。焦らず、「自分は本当は何を大切にしているんだろう」と問い続ける。
2. 表現(How)が抽象的
「How」が抽象的とは、自分の中ではハッキリ見えているのに、相手の頭の中にも同じ映像が浮かぶ言葉にできていない状態のことだ。
例えば、こう書いたとする。
「僕は、自由を大切にして生きている。」
これは、書いた本人にとっては鮮明な思いだ。でも、読む人の頭の中はこうなる。「自由って、お金の自由? 時間の自由? 場所の自由? それとも、人間関係から解放されたいって意味?」
つまり、自分の中では映像が浮かんでいるのに、相手の中では浮かばない。これが「How」不足の正体だ。
必要なのは、抽象的な内面を、具体的な情景・行動・痛みに変えることだ。相手の頭の中で映像が再生されるところまで、言葉を具体的に書き直す。
例えば「自由」じゃなく、こう書く。
「朝、誰の指示も受けずに、今日何をやるかを自分で決められる ── そのコーヒーの最初の一杯の、15分。」
「幸福」じゃなく、こう書く。
「静かな朝、湯気の立つカップを目の前に、誰にも急かされていない感覚。」
こうやって、自分の中の抽象的な大切なものを、具体的な一場面に翻訳する。これが、Howの作業だ。
診断ツール
最初の手紙で書いた1〜2行を目の前に置いて、自分に2つ問いかけてみてほしい。
その一文を読み返したとき、
「自分の中の何か」を取り出せた感じがあるか?
── 自己理解(Why)をチェックする問い
その一文を声に出したとき、
相手の頭に映像が浮かびそうか?
── 表現(How)の具体度をチェックする問い
YES/NOで答えて、下の表に当てはめてほしい。
問B NO
両方足りない
まず、量を出す作業 から始める
問B NO
自己理解はある
表現の具体度 を上げる
問B YES
表現はある
自己理解そのもの を深める
問B YES
順調
次の磨きへ進む
問Aが NO の人は、コピーの本を100冊読んでも刺さらない。問Bが NO の人は、自己理解を100時間やっても、市場には届かない。自分はどっちが弱いか、頭の片隅に置いてから、次に進んでほしい。
5 / 7磨きの4つの問い
ここから、実際に手を動かす。4つの問いに、順番に答えていく。紙でもスマホのメモでも、どこでもいい。ただ、頭の中だけで考えないで、必ず外に書き出す。
さ っ き の 診 断 を 思 い 出 し て ほ し い
Why(自己理解)が弱かった人は、問い1〜3を時間をかけて。How(表現)が弱かった人は、問い4の言い換えを念入りに。4つ全部やるのは同じだが、自分の弱点側に、より体重を乗せて進めてほしい。
各問い5〜10分。1日1問でもいい。むしろ4日に分けたほうが、自分のことがよく見えてくる。
進めるときの2つの原則
進めるときの原則は、2つだけだ。ひとつ、「書き出す」段階と「選ぶ」段階を、絶対に分けること。もうひとつ、時間を区切って、数のノルマを決めること。
「磨く」と聞くと削るイメージかもしれない。でも、順番は逆だ。まず大量に出す。その山の中から「これだ」を選ぶ。量が、質を連れてくる。
「いい言葉を書こう」と思いながら出すと、最初の3個しか出てこない。最初は「何でもいいから、とにかく量」のモードで書く。
君は、何と戦うか
君が自分の業界や社会を見て、
「これは絶対におかしい」と
はらわたが煮えくり返る瞬間は、いつだろう?
── 5分で、最低10個。30個書ければ最高だ。
「10個も書けない」なら3個でいい。3個も浮かばなければ1個でいい。書き始めることが、今日の本当のゴールだ。書き続ければ、明日の自分が10個目に届く。
弱くて曖昧
- 悪い人が嫌い
- 不誠実な発信
強くて鋭い
- 「誰でも1日5分で稼げる」と煽る情報発信者
- 「真面目に努力してれば報われる」という、報われてない人を黙らせる空気
- 「実績がある人だけが偉い」という、これから始める人を萎縮させる風潮
君が、業界や社会を見て「これは絶対におかしい」と感じる瞬間(10個以上)
書き終わったら、10個の中から「一番はらわたが煮えくり返る1個」に印をつける。それが、君の「仮想敵」だ。
救いたい相手は、夜中、何に絶望しているか
君が救いたい相手は、
夜、布団の中で天井を見つめながら、
何を感じているだろう?
── 5分で、最低10個。
表面的な悩み(お金がない、時間がない)じゃない。相手が自分でもうまく言えずに飲み込んでいる本音を、君が代わりに言ってあげる。
人は、自分以上に自分の痛みを言葉にしてくれる人に出会うと、「この人について行こう」と思う。
表面的
- 収入が少なくて困っている
- 自由になりたい
奥の本音
- 真面目に努力してるのに評価されず、ただの「使い捨ての歯車」として削られていく虚しさ
- 「自分だけが何者にもなれない」と思って、夜中に布団の中で天井を見つめている感覚
- 教材を10個買ったのに、結局自分は何も変わってないという、誰にも言えない焦り
救いたい相手が、夜中、布団の中で飲み込んでいる本音(10個以上)
10個から、「一番自分が過去に味わった痛みに重なるもの」を選ぶ。それが、君の「痛みの軸」だ。
その人を、どこへ連れていくか
君と関わった結果、
その人は半年後、
どんな朝を迎えているだろう?
── 5分で、5個以上。
ここで書くのは、数字の到達点じゃない。その人の内側が、どう変わるかだ。
数字の約束
- 月収30万円稼げる
- フォロワー1万人達成
状態の約束
- 他人と比べる視線が、自分自身に戻る
- 「何者かにならなきゃ」という焦りが、「今の自分のままでいい」に、静かに変わる
- 数字を追いかける疲れが消えて、自分のペースで淡々と発信できる
その人が半年後に迎えている、内側の変化(5個以上)
5個から、「君が一番、その状態に連れていきたい」と思うものを選ぶ。それが、君の「変化の先」だ。
3つを、ひとつにまとめる
最後は、統合だ。ここまでで選んだ3つ(仮想敵・痛み・変化)を、次の型に当てはめてみてほしい。
「僕(私)は、問1の仮想敵に縛られて、問2の痛みを感じている人を、問3の状態へと連れていく」
「僕は、『ノウハウさえあれば稼げる』という幻想に縛られて、『自分だけが何者にもなれない』と布団の中で天井を見ている人を、自分の体験そのものが資産になる場所へと連れていく」
これは、完璧じゃない。読み返すと、もっと磨ける場所がいくつもある。でも、これが「磨きの始まりの一文」だ。
3つを統合した君の一文を、ここに書く
書けたか? 今、君の手元には、最初の手紙で書いた一文より、確実に輪郭のはっきりした「人に届く一文」がある。
6 / 7磨きの先にある、3つの壁
4つの問いを終えた君に、正直に伝えておく。
この4つの問いは、磨きの「入口」だ。本当の難所は、ここから先にある。
僕がこの13年で見てきた壁は、3つ。
本物か偽物かの見分け
── 魂か、コピーか
枝分かれの順番
── 3通目の手紙で渡す
実際に出す勇気
── 4通目の手紙で渡す
壁 1:本物か偽物かの見分け
書いた仮想敵・痛み・変化が、君の本当の魂から出てきたものか、それともネットでよく見る言葉のコピーか。これを見極めるには、もう一段深い問いがいる。今日の4つの問いを数日まわすこと自体が、その訓練になっている。
壁 2:枝分かれの順番
今日書いた一文は「核」だ。これを発信用の5つほどのテーマに枝分かれさせないと、せっかく磨いた一文が誰にも届かない発信になる。これは、3通目の手紙で渡す。
壁 3:実際に出す勇気
磨いた一文をいざSNSに出そうとすると、ほぼ全員、手が止まる。「これを世に出して大丈夫か」「批判されたら」「自分はまだ早い」── この引き戻しを外す方法は、4通目の手紙で渡す。
3つとも、今日は扱わない。まずは、目の前の一文を磨いてくれれば、それで今日は十分だ。
7 / 7次の手紙
明日、君のメールボックスに、3通目が届く。
5本の枝に広げる。
磨いた一文の隣に、
5つの発信テーマが生まれる。
今日書いた一文を、捨てずに残しておいてほしい。明日、これを材料に使う。
ここまで読んで「面白そう、明日からやろう」と思った人は、たぶん、明日もやらない。1週間後にも、やらない。
僕も、そういう人間だった。「明日から」を毎日くり返して、3年、ノウハウだけ集めて何も書かずに過ごした時期がある。
抜け出せた瞬間は、特別な気合が入った日じゃなかった。「今日、5分だけ書いてみる」と決めた、ある夜だった。深夜の海沿いをドライブして帰る途中、路肩に車を停めて、スマホのメモに「業界の何が一番おかしいと思うか」を10個だけ書いた。それが、僕のMSPの最初の素材になった。
君も、この夜、問い1だけでいい。5分だけ向き合ってくれたら、それで十分だ。全部やる必要はない。問い1だけでいい。
ただ、書かない限り、明日の手紙も、君にとってはただの読み物で終わる。書いた人だけが、明日の手紙を「武器」として使える。
──次の手紙で会おう。
──藍沢
